冒険者ギルド
魔物が湧き出る事から、魔物の森と言われている広大な森林がある。
城塞都市ターレスは、魔物の森から本国を守るための城塞を作るための駐屯地だった。
しかし、魔物が落とす魔石の有用性から、魔物狩りが始まり、発生元の古代人の遺跡の調査が始まった。
広大な土地を調査するには多種多様な人材が必要である。
そのために作られたのが、
「【冒険者ギルド】というわけか。」
俺は【冒険者ギルド】という看板を掲げている、建物の前にいた。
大きく綺麗な建物で、まるで現代の役所のように四角くて理路整然としている建物である。
ゲームでは酒場と併設しているならず者の巣窟みたいな印象があるが、まるで違う。
国が支援しているだけあって、冒険者に対するあらゆる面倒を世話してくれる場所である。
『イフリート、俺は受付で住む場所の相談をする。荷物を見張っておいてくれ。』
『面倒な事だな。』
ゲームなら荷物がいくらでも入るアイテムボックスなどあったりするが、この世界はそんなに甘くないようだ。
まずこの荷物と住む場所の確保をしなければいけない。
中に入るといくつもの受付があり、長椅子などが何個も設置されている。
まるで現代の役所のようだ。
ただ、武具をまとった物騒な連中がウロウロしている光景だけはまったく違う。
ダロスの知り合いと出会うと厄介なので、出来るだけ目を合わさないように目的の受付に急ぐ。
(随分と並んでいるな。)
目的の受付にはそこそこ列が出来ていた。
番号札制度などはないらしい。
妙に空いている列があったので、素早く列に並び周りの様子を窺う。
(知り合いはいないか?)
一応ダロスの記憶がうっすらと残っているせいか、周りの冒険者達の事はなんとなくは知っている。
ただ、そこまで仲のいい者はいない・・・と思ってたが、よく知った顔が見つかった。
迷宮にダロスを囮にして逃げたパーティのリーダーである【アルダン】である。
別の列に並んでおり、こちらに気付いてはいない。
(そりゃいるよなぁ。ダロスなら復讐を考えるだろうが、俺にとっては面倒なだけだ。)
列に並んだまま人の影に隠れて、相手から見えないようにする。
(他の仲間はいないみたいだな。)
そうこうしている間に列が進み、俺の番になった。
(思ったより早いな。)
目の前には受付窓越しに黒い制服に身を包んだ、鋭い目つきの眼鏡女性が無表情で問いかけてきた。
なんとなくここに並ぶ人が少ない理由がわかった気がした。
「私はレクセンテールと申します。今回はどのような御用でしょうか?」
「実はこれから住む場所を探していて、荷車に乗せた荷物もあるからそれなりに広い場所が欲しいのだが何とかなりませんか?」
「なるほど・・・1人部屋で倉庫付きといったところでしょうか?」
(1人部屋か・・・イフリートもいるから2人部屋の方がいいか?)
「2人部屋でお願いします。」
「期間はどれくらいでしょうか?お予算はどれくらいでしょうか?」
「そうだな・・・とりあえず金貨1枚で一ヶ月ほど何とかなりませんか?」
「それは厳しいですね。金貨2枚なら余裕をもって選ぶことができます。」
ちなみにお金の価値はだいたい、
金貨1枚=10万円、銀貨1枚=5千円、銅貨1枚=5百円
ぐらいである。
(今持っている全財産は金貨10枚とその他貨幣数枚か。大金だが、無駄遣いするとすぐ無くなりそうだ。)
「出来るだけ安い方がいいんだけど・・・」
「それだと色々共同になりますが、それでいいのなら。」
(それはマズイな。持ち帰った荷物は見られたくない。)
「わかった。金貨2枚でよろしく頼みます。」
「わかりました。」
彼女は終始淡々としていて愛想もないが、仕事が速くわかりやすい。
その後の手続きは素早く行われ、俺は念願の住居を手に入れた。
「これが契約書です。重要な物なので無くさないでください。それと地図もお渡ししておきます。目印を記載しておりますので、迷う事はないと思います。」
「地図まで用意してくれるとは・・・ありがとうございます。助かりました。」
「いえ、仕事ですので。」
彼女は最後に少しだけ微笑んだ。
(これが有能という事か。これから何かあれば彼女に頼もう。)
俺は上機嫌で、イフリートの所へと急ぐ。
(早く出よう。変な奴に絡まれるとやっかいだ。)
しかし、目の前に奴がいた。
「よう!ダロスじゃねえか!待ってたぜ!」
すでに手遅れだったようだ。




