その16 図書館に行こう!
三十羽の名前は結局、果物と花の名前で埋めた。 これで満足?
「瑞稀! 今後、購入した時は、名前をしっかりとお付けくださいませ!」
「……うるさいなあ」
「み、ず、き?」
「はいはい」
口ではそう言いながら、私は正直、少しほっとしていた。
ーーあんな怪物に毎晩来られたら、たまったものではない。
でも、疑問は残ったままだった。 美羽に聞いても、答えは返ってこない。
そこで、私はこの村の伝承を調べるために図書館へ行った。
村の図書館って聞くと、寂れた場所をイメージしていたが、随分と立派な場所だった。 ーーなんでも、櫻井家が管理していたらしい。
「初めましてやな。 ウチは土間真里。 マリモちゃんやで!」
「……倉石瑞稀です」
「七瀬先輩から聞いてるで〜 いつも、美味しいカブありがとさん〜」
「あ、はは」
ーーこの村の陽キャラ率高くない?
二階建ての豪華な外装の中で、エプロン姿の坊主頭の人が陽気に話しかけてきた。
図書館には埃の匂いが、しなかった。 隅々まで、掃除がされているようだ。
毎日ここを掃除しているのかなぁ? 私は気になったことを聞いてみた。
「……なんで坊主なんですか?」
「ウチな、つい最近まで超ロングヘアーやったんけどな! 一回、デビューしよう思うて、ばっさりいったんや」
「ばっさり……」
ーーいや、ばっさりいき過ぎだよね?
「そしたら、気持ちいいのなんのって! 一回やったら、やめられんのや」
「そうなんですね……」
「あんさん、わかってへんやろ? いっぺんやってみるか?」
「……またの機会に」
ーー絶対嫌なんだけど。
郷土資料の棚は、奥の壁沿いにあった。
背表紙に『櫻井村史』とある。 上巻、中巻、下巻。 私は上巻を引き抜いて、近くの机に広げた。
最初の数ページは、普通だった。 村の位置。 山と川の名前。 主な産業は農業と鉱業。 そこまではいい。
問題は、次だった。 ページが、白紙になっていた。 ーーなんで?
白紙は、四十ページほど続いていた。
「土間さん?」
「どうしたんや、瑞稀はん?」
「ここ白紙なんだけど……」
「ああ『櫻井村の秘密』やな。 あるで!」
「見せてください!」
「10万や!」
「……?」
ーー今、この人、なにを言ったのかなぁ?
「あの……? お金取るんですか?」
「そや」
「図書館なのに?」
「そや」
「なんで?」
「知らんわ。 それで? 出すんか出さんのかどっちや?」
「いや、あの10万って高すぎません? どうして、そんなにするんですか?」
「さあ?」
駄目だ。 この人に聞いても意味がない。
この時、私はやっとこの『ゲーム』のことに気づいたのだった。
ーー農業シュミレーションでお金を稼いで、この村の謎を解けってことね。




