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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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その4 農業を始めよう!

 翌朝。 玄関の引き戸を開けると、縁側に斧と鍬とツルハシが立てかけてあった。


 『プレゼントですわよ』 美羽の仕業だった。 私は深く考えないことにした。 


 私は鍬を担いで、荒れ地の真ん中に立った。 見渡すかぎりの石と雑草。 どこから手をつければいいのか分からないけど、とりあえず足元からだ。 鍬を振り上げて、振り下ろす。 ざくり、と土に食い込む音。


「……え? なにこれ?」


 足元の土が、きれいに掘り返されていた。


 いや、掘り返されたというか。 一辺一メートルくらいの、正方形に。 定規で引いたみたいに、まっすぐな四辺。


 もう一度、隣を耕す。 やっぱり正方形。 しかも、さっきの区画とぴったり隣り合っている。 一ミリの隙間もなくだ。


「……うん。 おかしくないこれ?」


 次は石だ。 畑の真ん中に、抱えるどころか両腕で回らないくらいの岩が鎮座している。 どう見ても私一人で動かせる大きさじゃない。 業者を呼ぶレベルだ。


 それでも一応、ツルハシで壊そうとした。 壊れた!


「壊れちゃったよ!」


ーー私、力弱いはずなんだけどなぁ?


 そして、岩はいつの間にか、背負っていたバッグの中にあった。


ーー昨日。 美羽に渡されたバッグだ。 これを常に持ち歩けと言われたけど。


「なんで! おかしいよね! ゲームじゃないんだからさ……」


 試しに、もうひとつ入れてみた。 入った。 三つ目も入った。 膨らみもしないし、重くもならない。 その日の午前中だけで、私のバッグには岩が十七個入った。


 斧も同様だった。 木を切り倒すと、木材がバッグに入っている。 なんなんだろうこれ? マジックバッグ?


 アレ? でも、体が重くなってきた。 でも、バッグの重さは変わらないよ?


ーーもしかして、疲れた? 体力ゲージがゼロになったみたいだ。


 畑の隅に座り込んでいると、道の向こうから茶色髪のエプロン姿のお姉さんが歩いてきた。 


「あら、こんにちは〜 私の名前は小川望美。 雑貨屋だよ、よろしくね〜」

「……よろしくお願いします」


ーーなんだろう、この人? 明らかに、キャラを作っているよね?


 いかにも陽キャラの雰囲気だけど。 ことねにどこか似ている気がする。


「農業仕事お疲れ様〜 はい、これあげる〜 食べて見て〜」

「ありが……なんですか、これ?」

「草です〜 ぷぷ」


ーーいや、笑顔で草って言われても。


「オメェは草でも食ってろ! ……なんてね?」

「は、はあ?」


 渋々、私は渡された草を食べた。 少しだけ、体が軽くなった気がする。


ーーいやいや。 完全にゲームじゃん、これ!


「私の店は朝の九時からやってるよ〜 来てね〜」

「あ、はい。 ありがとうございます」


 私がそう答えると、望美さんはにこにこしながら、そのまま道を歩いていった。


 夕方。 美羽から、種が送られて来た。


『カブの種ですわ。 撒いて、お水をあげてくださいまし。 もっと欲しければ、お金を稼いで、小川雑貨屋で買うといいですわ』

「あの、猫被り女のところか……」


 とりあえず種を撒いて、井戸で汲んだじょうろで水をやった。 不思議なことに、じょうろの水は重くなかった。 


 そして翌朝。


「はあ? ……もう芽が出てる」


 昨日の夕方に撒いた種から、きっちりと芽が出ていた。 一晩で? なんで?


 三日目にはカブが出来上がっていた。 ーー思考停止。


 収穫して、出荷箱に入れる。 これでよし! 考えたら負けだ。


「へえ? 美味しそうなカブじゃん! ちょっと、譲ってくんない?」

「……貴方は?」


 突然横から、声をかけられた。 村の料理人みたいな格好をした、ピンク髪の人がいた。


「もち、金払うし! いいじゃん! ちょっと、ちょうだいよ?」

「……わかりました」


 私は、出荷箱から適当に3株取り出すと、代わりに彼女はお札を一枚渡してきた。


「はい、お代。 まじ、助かるわ! あ〜し、七瀬莉央。 よろしく!」

「……あ、はい」


 莉央さんは、ニコニコとポンポン背中を叩いた。


ーーうわ。 気安く触らないでよ。 陽キャかよ。


 この村、陽キャばかりなのかなぁ? 嫌なんだけど。

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