↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

317/347

イフ外伝 田舎暮しの倉石瑞稀 その1 きっかけは些細なことから

 休日の昼下がり。 私はことねの家の中で、新聞の用紙と一枚の宝くじをいったり来たりしていた。


「瑞稀? ……貴方、人の家でなにをしているのよ?」


 この家の住人のことねが、紅茶のカップを片手に私に話かけてきた。 呆れたような声だ。


「この前買った、宝くじのことを思い出してね! その結果を見ようと思った時に、ことねの家に新聞があることを思い出したんだ」

「モグモグ……」


 テーブルの向かい側から、そんな音が聞こえてくる。 美羽だ。 美味しそうにご飯を食べている。


「っけ。 それでわざわざ来たのかよ!」


 いつも、この家に入り浸っているひとみが、ソファの背もたれに顎を乗せたまま、そう言って私に文句を言ってきた。


「そうだよ! 悪い?」

「モグモグ……」

「貴方ね……宝くじなんて隕石が家に降ってくるぐらいに確率が低いのよ? たかが一枚ぐらい買ったって当たる訳ないでしょ?」

「……なんですって?」


ーームカ! ことねの発言にイラっとした。 これだから、お金に困ってないお嬢様は!


「宝くじっていうのは夢を買ってるの! 確率の話をするなんて野暮だよ!

「……それで、結果は?」

「ハズレです……」


 私はもう一度、新聞に目を落とし再確認。 まあ、宝くじは外れてたけど。


「ああ、夢の豪邸暮らしに、自由気ままな生活がしたいな……」


 外れくじをひらひらと振りながら、私がそうやってぼやいていると、食事中の美羽が話しかけてきた。


「モグモグ。 瑞稀……簡単ですわよ……モグモグ」

「ちょっと、美羽。 食べるか話すかどっちかにしなさいよ」

「……モグモグ」


 ことねが、美羽を咎めた。 美羽は素直に頷いて、食事に戻った。


 それからしばらく、美羽が全部を平らげた後、ナプキンで口元を拭い、居住まいを正して私にこう言った。


「そんなの簡単ですわ! 私と、結婚して同棲すればいいんですの!」

「……」


ーーなに言ってるの美羽? 意味わからないんだけど?


 ひとみとことねがお互いに、顔を見渡していることがわかった。 私の表情を見て、やれやれって感じで苦笑いしている。 


「相変わらず、意味不明だね? 外伝の時ぐらい、日本語喋ったら?」

「あら、私と結婚すれば、豪邸暮らしの自由気ままな生活が手に入りますわよ? いかがです?」


 本気とも冗談ともつかない、綺麗な笑顔でそう言ってのける。 この子のこういうところが、一番たちが悪い。


「論外だよ……まったく」


 私は外れくじを鞄に突っ込んで、プンプンしながら帰って行った。


「……おいおい、あいつ本当にこのためだけに来たのかよ!」

「……そのようね」

「私は本気ですわよ? 瑞稀……」


 後ろでひとみとことねが文句言ってるけど聞かなかったことにした。


 その晩。 お風呂から上がって、髪を乾かして、明日の準備も終わらせて。 やることがなくなってしまった私はベッドで呟いた。


「豪邸……自由気ままな生活……スローライフ……したいな……」


ーー別に誰にでもなく、呟いた言葉。


『かしこまりました、瑞稀』


 エタナの声が聞こえたのを最後に、私の意識は眠りについた。


ーーだからその時の私は、気づいていなかった。 私のそばには願いを簡単に実現できる存在がいるということに。


 そして、それが。 私の願望通りではないことも含めてーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。