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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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櫻井家の豪邸で話し合い

 アタイは、美羽の家ーー櫻井家の豪邸で借りた服を脱いだ。


 白いブラウスに、ひらひらのスカート。 こんな服、アタイは持ってない。


 美羽が脱いだ服を、片っ端からひっくり返していく。 襟の裏。 袖口。 ポケット。 スカートの縫い目。 


 美羽は、それを深呼吸しながら確認していた。 瑞稀の匂いがするらしい。


 「……お前、いつまでやってんだ」

 「瑞稀……私は、さみしゅうございますわ」


 アタイは自分の手を見た。 指先が、ちょっと震えてる。


 ーー瑞稀の野郎。 まさか、本当に仕掛けてくるとはな。


 結局、最初の一個だけだったらしいが。


 アタイは、いつもの服に着替えた。 やっぱ、落ち着くぜ。


 鏡を見る。 うん、こっちがアタイだよな!


 櫻井屋敷は、無駄に広い。


 廊下を歩くだけで、落ち着かねぇったらねぇよ。


 美羽が、先を歩いている。 やっぱ、コイツお嬢様なんだな。


 「なあ、美羽」

 「なんですの? ひとみ?」

 「よく気づいたな。 あんなちっせぇの」


 美羽は、少しだけ振り返った。 不敵に笑ってた。


 「瑞稀が考えそうな、ことはお見通しですわ」

 「ストーカかよお前?」


 美羽は、ちょっとだけ笑った気がした。 気のせいかもしれねぇけど。


 応接室のドアを開けると、ことねはソファに座っていた。


 「遅いわね、湊とのイチャイチャタイムが減るわ」

 「……」


 アタイは、思わず立ち止まった。


 「……まったく。 今は格好いいシーンなのに……」


 ことね様が、思いっきり不機嫌な顔でこっちを睨んでいる。


 「いやあ、ことね。 こんばんは」

 「馬鹿にしているの? ひとみ?」

 「してねぇって」


 してねぇよ。 本当に。 


 ただ、なんつーか。 ーー普通の女子高生に見えた。


 「アタイが頼んだんだろ。 制服はやめてくれって」

 「ええ。 だから着てあげたのよ、パーカーにジーンズ……」

 「感謝してるぜ」

 「落ち着かないわね」


 ことねは、腕を組んでソファに沈み込んだんだが、チラチラと自分の今の服装を見て、首を傾げている。


 休日の夜に制服姿で居られると、アタイの方が落ち着かないんだよ!


 そして、テーブルの上に、小さい黒い粒が転がっている。


 美羽が茶を淹れて、三人分をそっと置いた。 


 「で。 これが盗聴器だな」

 「そのようね」

 「アイツ、アタイに仕掛けやがった」

 「やっぱりね……」


 ことね様は、粒をつまんで、灯りに透かしている。 全然、驚いてねぇ。


 「予想の範囲よ。 ……むしろ、遅かったくらい」

 「はぁ?」

 「私が貴女を行かせた時点で、あの子はそう動くもの」


 ーーおい。


 「アタイが仕掛けられるの、わかってて行かせたのか」

 「ええ」

 「ひとみは愚かですわね?」


 ーー美羽がニコニコと笑っている。


 「で。 報告よ」

 「報告するようなことは、なんもねぇよ」

 「嘘おっしゃいませ! 瑞稀のスメルがしましたわよ!」

 「そんなことがわかるのかよ!」


 アタイは、茶をすすった。 熱ちぃ。


 「部屋にゲーム機といつもの服があったぐらいだな……」

 「それだけ?」

 「それだけだ」


 あの部屋には、なんもなかった。 思い出になるようなもんが、一個もなかった。


 母ちゃんは瑞稀を怒ってばっかで、弟には笑ってた。


 机の引き出しに触ろうとした時、アイツはアタイの手首を掴んだ。 本気の力だった。


 「楽しかったか」って聞かれて、アタイは「楽しかった」って答えた。


 そしたら、アイツ嗤ってた。


 「ひとみ」

 「……なんだよ」

 「ただ呼んだだけよ……」


 ことねは、それ以上追及しなかった。 湯呑みを両手で持って、ふうふうしている。


 ーー猫舌かよ。 知らなかったぜ。


 「……ねぇ、ひとみ」

 「なんだ」

 「あの子、今度は何をするつもりでしょうね?」

 「瑞稀が次に何をするかだと?」


 ーーわからねぇ。 ただ、何もしないと言うのは考えられないな。


 「ふふふ。 二人とも、瑞稀が次にすることは……」


 美羽が、湯呑みを置いた。 ドヤ顔で話そうとした時、雷みたいな音がなった。


 アタイたちは、そっちを見た。 美羽は、しばらく黙っていた。


 それから、ぽつりと言った。 


 ーーお腹と背中がくっつきますわね。 ちょっと、ご飯を持ってきますわ!


 そう言って、美羽はどこかへ行ってしまった。


 応接室が、静かになった。 


 ーーなあ、瑞稀? 次は何をするつもりなんだよ?


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