第16話 お邪魔女ーー吉澤ひとみ
新学期、初めての休日だった。
私は自室のベッドでごろごろしていた。 最高だよね、これ。
ーーピンポーン。
「瑞稀、お母さん今手が離せないから代わりに出て」
「はいはい」
お母さんに呼ばれて、仕方なくインターホンに向かう。 誰かなぁ? 宅配便かな?
画面に、見覚えのある顔が映っていた。
「はわわ、吉澤ひ……」
私はインターホンを切った。
ーーあの女、吉澤ひとみが今さら私になんのよう?
「瑞稀? どちら様だった?」
「あ、ちょっと、宗教勧誘だよ! 断ってくるね〜」
ほっといて、ピッキングされたら最悪だしーー
「そう……大丈夫? 瑞稀?」
お母さんの心配そうな声をバックに、私は玄関のドアを開けた。
「あ! 倉石瑞稀さんですぅ」
「……」
妙に甘ったるい、作ったような声で私に呼びかけてくる。
住宅街の玄関口だからか、お母さんが出てくるからなのかわからないが、ぶりっ子をしていた。
私は服装に目をやる。 彼女にしては珍しいスカートファッションだ。
ーー格好までぶりっ子ぶることを覚えたんだね?
「こんにちはぁ? 倉石さ〜ん!」
「ウチは、宗教勧誘は断ってて……」
「あれれ? 宗教勧誘じゃなくて、アタイですよ? 目が腐ったのかなぁ?」
ーーなにコイツ。 喧嘩売りにきたのかなぁ?
「とにかく、おかえりください。」
「えー? ひどーいです! え〜ん」
「ッチ」
「瑞稀? まだ、話しているの?」
ーー最悪。 私がいつまでも戻らないからか、お母さんがやって来た。
「もう。 貴方は、気弱なんだから……」
「……」
なに? その決めつけ台詞? イラつくなぁ。
「すみません、宗教勧誘は……」
「お母様、お久しぶりですぅ」
「ちょっと、瑞稀! ひとみちゃんじゃない!」
ーー相手の正体がわかるや否や、私を否定し始める。 本当、なんなのかなぁ?
「どうぞ上がって。 今、お茶を淹れるから」
「わあ、お邪魔しますぅ」
ーーああ。 入られた。
ひとみが、勝ち誇った顔でこっちを見ていた。
私の部屋に通すと、ひとみは一目散にベッドにダイブ。
「うひゃー 歩いてたら、汗掻いたぜ〜」
「……」
ーーそんな状況で寝そべるな! キOガイなのかなぁ?
「ひとみちゃん〜 お菓子とジュース持ってきたわよ!」
「アワアワ。 ありがとうございますぅ お母様ぁ!」
「コイツにお菓子とか要らないから」
「瑞稀! ひとみちゃんは、貴方の友達でしょ!」
そう言って、また私を責めてくる。 本当に鬱陶しい存在だ。
一方、ひとみはと言うとーー
「バリバリ、ボリボリ」
「ちょっと! ベッドに食べカス溢さないでよ!」
ーー最悪じゃない? コイツ。




