雪で遊ぼう!
雪まつりは、想像していた十倍は賑やかだった。 ふふ、順調だね。
「倉石! ……! こっちを手伝って!」
「はいはい、今いくよ!」
「……」
柳田庶務に呼ばれて、私はグラウンドを駆けていく。 雪を踏む音が、ぎゅっ、ぎゅっと鳴った。 やっぱり、雪が好きだなぁ!
「……」
生徒たちが作った雪のすべり台には行列ができていて、下から悲鳴と笑い声が交互に飛んでくる。 ステージのほうからはスリーガールズの歌が響いている。
ーーみんな、笑ってる。 いい感じだね!
私が寝ている間も、この学校はちゃんと動いていて。 でも、こうしてみんなが騒いでいるのを見ると、やっぱり思ってしまう。
ーーやっぱり、この世界が一番いいよ!
「瑞稀!」
「彩乃!」
考えごとをしていた私に、彩乃が呼びかけた。 その顔は心配そうだった。
「アンタ、病み上がりなのに大丈夫なの?」
「うん、元気元気! なにか問題でも?」
「本当に? ……、貴方がちゃんと介抱しないと駄目よ!」
「……」
そう、心配する彩乃の手にはお椀が握られていた。
「ちょっと! これは……の分じゃないわよ! 貴方はあっち!」
「……」
「まったく、もう……ってば。 はい、瑞稀! どうぞ!」
私は彩乃から、豚汁をいただく。 美味しい。 彩乃の料理は最高だった。
次に焼き鳥串を頬張る。 うん、美味しい。 冷たい空気の中で食べる温かいものは、どうしてこんなに美味しいんだろう。
「おい、瑞稀! ……! 雪合戦しようぜ!」
振り向くと、ひとみが手を振っていた。 その隣でことねが、腕を組んでこちらを見ていた。
私VSことねとひとみのようだ。 ちなみに、高坂が審判役だ。
「……! 遠慮はしないわよ?」
「……」
「……。 お前は手加減しろ!」
「そうだぜ……。 お前は強すぎるんだからな!」
「……」
ーーもう! 私は手加減しないよ! 雪合戦は得意なんだから!
結果から言うと、私たちは勝った。
「……」
「……! お前は手加減を知らないのかよ!」
「……」
「……無駄よ、ひとみ。 ……に勝負を挑んだ私たちが馬鹿だったわ」
「……」
私は仰向けに倒れたまま、空を見上げる。
白い息が上っていく。 頬に触れる雪は、痛いくらいに冷たかった。
ーー冷たい。 気持ちいい。
「……」
まあ、いつまでもこうしている訳にはいかないか。
「⋯⋯」
さて、もっと遊ぼう!
◇◇◇
夕方。 オレンジ色の光の中で、片付けが始まっていた。
私は最後に、自分の雪像の前に立つ。
我ながら、よくできている。 制服姿で、堂々と笑っている私ーー倉石瑞稀。
ーーうん。 これが私の理想の私だ。
3学期はこれからまだまだ続く。 楽しみだなぁ?
「……」




