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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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ひとみの極秘任務 その19

 部下たちと駆け出す演技をして、アタイはすぐに列を離れた。 


 アタイが引き返した理由は一つ瑞稀だ。


 あの素の驚愕の後、アイツがどう動くか。 それを見届けなきゃ、観察者の名が廃るってもんよ。


 ーーだが、戻ったアタイが見たものは、想像の斜め上だった。


 瑞稀が、いねぇ。 舞香と美羽たちの輪から、音もなく消えてやがった。


 ことねがアタイに目配せをしてきた。 一緒に来いってか?


 嫌な予感に従って、アタイとことねは三人組が逃げた方へ走った。 モールの外れ、人気のねぇ搬入口の通路。 


 そこに、三人組の背中を、追う瑞稀がいた。


 足音を消した歩き方。 まっすぐ過ぎる背筋。 そして袖口から覗く、鈍い光。


「……おいおい。 どうしたんだよ、瑞稀……」


 アタイは思わず声をかけてた。 観察も任務も、頭から吹っ飛んでたぜ。


 瑞稀は、止まらねぇ。 振り向きもしねぇ。


「瑞稀? なにをするつもりかしら?」


 その声で、瑞稀の足がようやく止まった。


「……ことね。 わかっているくせに。 知っているんだよねぇ? 本当の私を」


 振り向いた瑞稀の顔を見て、アタイは息を呑んだ。


 ーー無だ。 なんにも、乗ってねぇ顔。 


「神子様? 瑞稀? なんの話をしているんだよ!」


 アタイは叫んだ。 話が見えねぇんじゃねぇ。 見えちまうのが、怖かったんだよ。


「ええ。 だから止めにきたのよ? ……その物騒なナイフをしまいなさい」


 ーーナイフ。


 ことねが、はっきり言葉にした。 瑞稀の右手に握られてたのは、ナイフだった。 モールで買ったのか?  違うな、いつも常備してやがるな。


 「そうだぜ! やめろよ、な!」


 アタイは瑞稀とことねの間に、体を割り込ませた。 考えるより先に足が動いてたぜ。


「……」


 瑞稀は、忌まわし気にアタイとことねを見た。


「……帰りましょう。 瑞稀。 美羽たちが待っているわ」

「……」


 瑞稀はなにも言わずに、戻って行った。


 一方三人組は、何も気づかず雑踏に消えていった。 テメーらは知らねぇだろうな。 今、自分たちの命が、どれだけ細い糸の上にあったかをよ。


 ーーそして、アタイは見た。 ことねが三人組の背中を見送る、その目をだ。


 あれは「見逃した」目じゃねぇ。 「確保先を決めてる」目だ。 


 瑞稀の手が届く前に、あの三人をどこかに『保護』する。 多分、そういう算段だぜ。 敵から守るんじゃねぇ、敵を隠すことで瑞稀を守るってな!


 次の日、アタイは瑞稀の家にいた。 表向きはことねと仲良くなるため。


 ーー本当は瑞稀の監視だ。


 なんとかアタイはその日を乗り越えて、次の日は終業式。 そして、なんだかんだで美羽と一緒に世界旅行だ。


 ーーさて、どうするかなぁ? 瑞稀が帰って来てからが本番だぜ!

 

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