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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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ひとみの極秘任務 その9

 アタイはメモを見ながら、計画の全貌を語り始めた。


 「いいか、驚くなよ。 計画の第一段階は、美羽だ。 アイツの大食いに瑞稀は目をつけた。 ……美羽を、世界大食い選手権で優勝させる気だ」

 「……なるほどね」


 ことねは、納得した表情を見せた。


 「ここからだ。 優勝した美羽は世界チャンピオンとして凱旋する。 で、その凱旋先が……例の中高一貫校だ。 うちの隣接校だよ。 『近隣校のご挨拶』って名目で、全校生徒の前に堂々と乗り込む」


 姫様の目が、すっと細くなった。


 「……その学校に、何かいるのね?」

 「おう。 書類に『ターゲット』って書かれた三人組がいる。 名前と顔写真つきでな。 瑞稀の狙いは、そこで三人組と『再会』することだ」


 ーー再会。 その二文字が書類にあった時点で、察したぜ。 瑞稀とそいつらは、昔なんかあったんだ。


 「計画はこうだ。 まず再会した三人組を、あえて挑発する。 わざと隙を見せて、昔のままの弱い瑞稀だと、みくびらせる。 その上で、全校生徒の前で世界チャンピオンの美羽と生徒会長の自分の権威をこれでもかと見せつける」

 「格の違いを、公開処刑するのね。 昔は見下していた相手が、手の届かない場所にいる。 プライドの高い人間ほど、我慢できないわ」

 「その通りだぜ。 書類にも書いてあった。 『彼女らの性格上、必ず直接的な報復に出る』ってな。 で、襲ってきたところを、正当防衛で撃退する」


 全部、瑞稀の掌の上って訳だ。 挑発も、みくびらせるのも、怒らせるのも。


 三人組が『自分から』襲ってくる状況を作るための仕込みだ。 生徒会室で見た、美羽への一人芝居と同じ手口だぜ。 規模が違うだけでな。


 「非は百パーセント向こうにある。 世界チャンピオンと隣接校の生徒会長への白昼堂々の暴行事件。 学校のメンツは丸潰れだ。 そして瑞稀は、そこで初めて牙を剥く。 ……学校側と協議するんだ」

 「へえ……協議ね?」

 「……学校側は醜聞を揉み消してぇ。 けど、ただ土下座するんじゃメンツが立たねぇ。 だから向こうから『条件』を提示してくる。 学校側にどんな条件を出させて、どう呑むかは書かれてねぇ。 だって、そんなのどうでもいいからなぁ」

 「……どうでもいいね。 つまり……」


 アタイは、メモを閉じた。 部屋に沈黙が落ちる。 トラだけが、暢気に喉を鳴らしてやがる。


 「瑞稀は、その状況を盗聴するつもりだ。 そして、それをマスコミへ流す。 おそらく、そこには半ば脅迫された瑞稀の様子と、傲慢な校長始め、学校の連中の声が聞こえて来るだろうよ」

 「そんなものがメディアに流れれば……」


 ことねは、しばらく黙っていた。 それから、ぽつりと言った。


 「……まだね」

 「ああ。 そうなんだよ……」


 アイツ。 次から次へと、苦しめる方法を考えてやがる。


 「ことね、当然止めるよなぁ?」

 「まあ、そうね……でも」


 ーーちょっとだけ、泳がせようかしら?


 ことねは、アタイへそう言った。 


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