ひとみの極秘任務 その6
数日後の夜、アタイは生徒会室に来ていた。 美羽の言う「心を閉ざした」理由を調べようとしたからだ。
生徒会室の書類、日誌、メモ、なにか手がかりがあるはずだ。
アタイは調べたのだが、そこにあったのは文化祭の書類じゃなかった。
ーーもっと先の、三学期のイベントだった。
雪合戦、雪だるま美術コンテスト、理想学園ユキフェス。 理想学園ふれあい広場でサツマイモパーティ 理想チョコ食べ放題祭に、雛祭DAY。 花粉ちゃん祭だと?
ーーどういうことだ? なんなんだぁこりゃ?
もっと、詳しく調べようぜ。 しかし、物色を始めようとした時、物音がした。
アタイは慌てて掃除用具入れのロッカーに隠れた。 すると、入って来たのは瑞稀だった。
ーー帰ったんじゃねぇのかよ! こんな時間になにを。
瑞稀は電気をつけると、机に向かって黙々と書類仕事を始めた。
ーー観察のチャンスだが、これじゃロッカーから出られネェ。 最悪だぜ。
そのまま、どれくらい経っただろうか。 ガラリと、再び扉が開いた。
入って来たのは、櫻井美羽だった。
「瑞稀!」
「ミウ⋯⋯櫻井さん」
「探しましたわよ! なんで学校にいるのですの!」
「⋯⋯なんでと言われましても、私は生徒会長ですから、文化祭の雑用をこなしているだけですが? なにか問題でも?」
ーー嘘つけ。 お前がやってたのは、三学期の行事企画だろが!
「大アリですわ! 瑞稀! どういたしまして? 最近の貴方は、全然らしくありませんわ!」
「⋯⋯私らしい、ですか。 櫻井さん、それは貴方の思い込みじゃないですか? 教室の様子を思い出してくださいよ⋯⋯ほら、誰も私に話し掛けてくれないでしょ」
「そんなことありませんわ! 私にことね、そして彩乃だって! 貴方に話し掛けますわ。 クラスのみんなだって⋯⋯」
「でも、それって貴方の主観ですよね。 ⋯⋯客観的に見て、どう考えても私は、ただの生徒会長でしかないんですよ⋯⋯」
そう言うと、瑞稀の奴は作業を止めて、部屋の窓から外を見たーーー
「⋯⋯私はね、生徒会長になれば⋯⋯みんなと仲良くなれる。 そう、思い込んでいたんですよ。 でも、現実は無情です。 みんなから見て私は、ただの生徒会長としか見られなくなった。 私とクラスメイトの間に、見えない壁があるんです。 ⋯⋯貴方も転校して来た時、感じたでしょ? その壁を。 私は超えることが出来ない⋯⋯だって私は臆病だから、貴方と違ってね」
ーーオイオイ、マジかよ。 アタイはロッカーの隙間から、息を殺して見ていた。
あの作り物女が、素を晒してやがる。 いや、これも嘘か? わからネェ。
クソ。 アタイは、全然あの女のことがわからねぇ!




