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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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ひとみの極秘任務 その4

 夜、アタイはベッドで考えていた。


「ニャン」

「トラ……」


 トラがアタイを心配して、スリスリしてくれる。 昼間はことねに取られっぱなしだったくせに、こういう時だけ寄ってきやがって。 


 ーーまあ、許すぜ。 今夜ばかりはこの温もりがありがたい。


 ことねから聞いた話を聞いたアタイは終始混乱していた。


 ことねが消える? アタイが悪霊に魅入られる? 一年間も工作作業をする? アタイの同志たちも巻きこんでだと?


 そして、一番信じられないのは、永遠に暗がりの場所にことねの亡霊と閉じ込められるという話だった。


 ーー思い出すぜ。 昼間、その話を聞いた時のアタイの第一声をよ。


 「ことねとふたりきり? 最高じゃネェか!」

 『ちょっと! そんなことないよ!』

 「私は生身じゃないわよ?」

 「生殺しじゃネェか!」


 我ながら反応が終わってた。 ことねたちも呆れてたぜ。 永遠の暗闇って聞かされて、真っ先に「ふたりきり」の方に食いつく人間、世界でアタイぐらいだろうな。


 ーーなあ! 別世界のアタイ。 今の状況が羨ましいだろ?


 ことねの亡霊と永遠にふたりきりなんだろ? こっちのアタイは、生きてる私服姿のことねと麦茶飲んだんだぜ? しかも、お揃いの服でな!


 トラの背中を撫でながら、天井を見上げる。


 ーーそれにしても。 倉石瑞稀か。


 ことねの話じゃ、その「未来」とやらで、アタイは倉石瑞稀と『友達』になってるらしい。


 アタイと倉石瑞稀が友達ネェ?


 そんなの冗談でもあり得ないな。


 あの作り物女とアタイが、どう転がったら友達になるんだよ?


 まあ、遠くから観察するから関係ないか。


 そうさ、いきなり近づく必要はネェ。 狩りと同じだぜ。 まずは獲物の行動範囲を知ることからだ。


 そのためには、つながりが必要だな。


 倉石瑞稀の情報が自然に入ってくる位置。 夏休み中の動向、二学期の予定、生徒会の動き。


 ーーよし、決めたぜ。


 櫻井美羽を取り入れるとしよう。


 アイツは倉石瑞稀の一番近くにいる。 姫様いわく「全部見えていて、それごと愛してる」女だ。 


 ーーつまり、アイツと繋がりゃ、瑞稀の情報は嫌でも入ってくる。 姫様が「論外」って言ったのは観察役としての話で、情報源としては最高だろ? 我ながら冴えてるぜ。


 本当なら、ことねから紹介願いたいが、アタイとことねの関係が倉石瑞稀にバレるのがまずいらしく、あくまで神子様として距離を取らないといけないぜ。


 昼間、ことねに念を押されたんだ。 『学校では今まで通り、ファンクラブ代表と神子様だからね!』ってな。 


 ーー正直、ちょっと寂しいが、任務のためだ。 我慢するぜ。


 となると、アタイが自力で櫻井に接触するしかネェ。


 接点は、ある。 同じ一年だし、文化祭準備もある。 なにより、櫻井は誰にでも人当たりがいい。 


 だから、アタイが話しかけても、不自然じゃネェはずだ。


 「トラ、聞いてくれよ。 アタイ、極秘任務ってやつを受けちまったぜ」

 「ニャア」

 「おう、わかってるって。 ことねのためだ。 命がけでやるさ」


 トラはアタイの返事に満足したのか、丸くなって目を閉じた。


 ーー見てろよ、倉石瑞稀。


 テメーの化けの皮の下に何があるのか、このアタイが暴いてやるぜ。

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