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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その16

 「藁人形の説明をしてくれますわよね」と、追及された瑞稀は、不気味な笑いと共に本心を溢れさせてしまいました。 


 徹夜ゲームという言い訳の裏で、実は毎晩うなされて眠れなかったこと。


 藁人形は三人組を呪うため、五寸釘は心臓に打ち込むため、マッチは燃やすため、ナイフは自分を安心させるためだったこと。


 しかし弟の声で我に返った瑞稀は、「家庭科の課題」「お使いの帰り」と、すらすらと嘘を並べて取り繕ったのでした。 


 美羽は長い沈黙の末、はっきりと怒りを露わにしました。「分かりやすい嘘」よりも、「櫻井さん」と呼ぶ他人行儀な態度こそが我慢ならないと。


 そして決定的な一言を告げたのでした。 「弟ってなんですの? いませんわよ!どこにも!」


 その言葉に固まる瑞稀を、母の夕食の声が救いました。 ご馳走を前に目を輝かせて食べる美羽の姿は、瑞稀の知るミウミウそのもので、瑞稀の口から思わず「ミウミウ」の呼び名が漏れ、美羽は隠しきれない喜びで食事のギアを上げたのでした。


 しかし食後、話は再開されました。瑞稀は「全部ボケだった」「元の世界に戻れば弟にも会える」と誤魔化しましたが、その「元の世界や弟」という言葉を、一番聞かれてはいけない相手、母に聞かれてしまったのでした。


 皿を落として泣き崩れた母は、「瑞稀、護はもういないのよ」と告げました。しかし瑞稀は「護」という名前に覚えがありませんでした。


 ーーなぜでしょうか? 瑞稀、貴方がただ忘れているだけですよね?


 母の口から語られたのは、中学三年の不登校の時期、瑞稀が突然「弟」や呪いのことを言い出し、半年間おかしくなっていたという過去でした。


 理想学園に入ってやっと元に戻ったと思っていたのに、と戸惑っている母に瑞稀は「私はここにいる、もう大丈夫」と母の手を握りました。 


 瑞稀はこの世界に母が存在する理由を悟ったのでした。


 母は、瑞稀の異変に気づけなかった後悔を抱えて存在していたのです。


 そして瑞稀のリストには、新たな目標が刻まれたのでしたーー「78、三人組に復讐する」「79、お母さんを安心させる」と。


 そして母との最後の対話が訪れました。 母は「元の世界」について深く聞かないことを選び、代わりに積年の想いを語りました。 


 仕事を言い訳に娘を見ていなかったこと。 引きこもりから「お腹すいた」と出てきた日、トイレで声を殺して神様に感謝の涙を流したこと。


 理想学園で美羽や舞香という友達ができて、心からほっとしたこと。


 そして「後は全て私におまかせ」という美羽の言葉に、自分の願いを託せると知ったこと。


 瑞稀は、本当は美羽を「ミウミウそっくりな別の存在」として一番怯えていながら、母を安心させるためだけに「美羽は面白い子、私はちゃんと笑って生きていける」と嘘をつきました。


 「いってきます」と、最後に強く抱きしめ合い、母は羽が抜けるように、この世界から消えていったのでした。 頬に温もりだけを残して。


 一人で沈みたい瑞稀に、美羽は「お母様にすら本心を偽るなんて納得いかない」と食い下がりました。


 美羽は今までずっと、瑞稀を見てきたことで、瑞稀の本性を理解しつつありました。


 瑞稀はそんな美羽のことを認められず、「偽物」と後ずさりました。


 結局その夜、美羽は「瑞稀を一人にはできない」と泊まり込んだのでした。


 翌朝、瑞稀は生まれて初めての料理に挑戦しましたが、味見なしの味噌汁と研いでいない米という壊滅的な出来栄えに、美羽は「今日から一緒に生活するのだわ! 私が美味しいご飯を作ってあげますわ!」と宣言。 二人は残さず完食し、瑞稀は自分の料理の才能に疑問を抱くのでした。

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