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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その15

  廃墟に現れた美羽は、瑞稀の頬の泥を拭い、優しく抱き寄せました。


 しかし人間離れした怪力を目の当たりにしたはずの三人組は、「大人しい櫻井美羽」という先入観からか、なおも金髪や口調を嘲る挑発を続けたのでした。


 瑞稀への仕打ちに対し、美羽は氷のように冷たい声で「ゼッタイニユルサナイ」と宣告し、缶ジュースを握り潰して投げるという力の実演で場を凍りつかせました。


 「私の瑞稀に手を出した。それがどういうことか、ゆっくり教えて差し上げますわ」。 美羽が拳を放とうとしたその瞬間、間に飛び込んでパンチを受け止めたのは、和馬でした。


 和馬は娘に向かって、いじめに気づいてやれなかった父親の罪を告白し、砂利の上に土下座して「俺を罵ってくれ」と処罰を求めました。


 しかし美羽は「パパを処罰しようなんて一度も思ったことない。大好きですもの」「不器用でも愛は伝わっていた」と父を赦し、その背中を優しく叩いたのでした。


 憑き物が落ちたような穏やかな表情で「ありがとう、美羽」と告げた和馬は、この世界の法則に従い、理想を叶えて風に溶けるように消えていったのでした。


 その隙にバッグを取り戻そうとした瑞稀は三人組に捕まり、ナイフを喉元に突きつけられて人質にされてしまいました。


 土下座を要求して勝ち誇る三人組。 しかし瑞稀に、ナイフを突きつけた瞬間、美羽の空気が、これまでの比ではないほど冷え込みました。


 「ナイフヲステロ」「シャベルナ、ヒザマズケ」


 美羽が呟くだけで、三人組は糸で操られた人形のように跪き、声も出せない置物と化したのでした。 


 瑞稀は、その力の正体を知らぬまま、呆然と見つめるしかありませんでした。


 ーー彼女は思いました。 この力が欲しいと。


 その後、美羽は震える瑞稀を歩かせることを許さず、お姫様抱っこで家まで送り届けました。


 娘の帰宅姿に仰天した母も、美羽の優雅な説明にすっかり相好を崩し、夕飯のご馳走作りに張り切って台所へ消えて行きました。


 せっかく遠ざけたはずの美羽が、当たり前のように倉石家へ戻ってきたことに、瑞稀はため息をつくのでした。


 ーー彼女には理解できませんでした。 なぜ、美羽は三人組や和馬を許すのか。

 

 美羽は、私と一緒だとずっと思っていたのにーー 


 どうせ口だけだと、今まで思っていたのに、今回のことでそれは違うとわかった。


 瑞稀は美羽を理解できない。 そこで、瑞稀は解釈しました。 美羽はたった数日。 私は数ヶ月。 この違いのせいだろうと。


 ーーそっか。 美羽は本当の絶望を知らないんだね? 残念だなぁ?


 夕食までの間、瑞稀の部屋で、瑞稀は廃墟での力の正体を尋ねようとしました。


 しかし美羽はそれを遮り、「瑞稀、汚れているわ」と。 三人組の手や声が肌と心にこびりついていると見抜き、入浴を促したのでした。


 それは瑞稀自身が今まさに感じていた感覚そのものでした。 シャワーで肌が赤くなるほど擦りながら「落ちない」と呟く瑞稀の独り言は、誰かに聞かれていたようでした。 


 風呂から上がると、用意した制服が「いつもの服」にすり替えられており、部屋に戻った瑞稀は「最低」と声を荒げました。


 しかし美羽は「制服の鎧がない、ただの瑞稀が見たかった」と悪びれず、初めてはっきり怒りをぶつけた瑞稀の姿を、むしろ嬉しそうに見つめたのでした。


 そして気づけば、テーブルの上には瑞稀のバッグの中身。 藁人形、五寸釘、マッチ、ナイフがすべて並べられていました。「これの説明をしてくれますわよね?」


 瑞稀は完全に、美羽のペースに乗せられていたのでした。

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