倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その14
「また親友だと認めてくれますか」という美羽の問いに、瑞稀は「ごめんなさい」とだけ告げて逃げ出しました。
教室も校舎裏も居場所を失った瑞稀は、導かれるように保健室へ向かいましたが、そこにいたのは今川先生ではなく、白衣を羽織ったことねでした。
追ってきた美羽も加わり、この世界の法則が明かされました。
この世界の住人は「理想」を叶えたら消えること。
ことねが瑞稀を忘れているのは演技ではなく本当であり、「私の貴方への記憶が、この世界には不要だったみたい」だということ。
それを聞いた瑞稀は、見たことのない薄ら笑いを浮かべて「都合いいね」と言い残し、去って行きました。
ーーそれはそうでしょう。 瑞稀にとっては本当に都合の良い状況でした。
取り残された美羽は、瑞稀の秘密を自分が見つけ出すと決意したのでした。
瑞稀は尾行してきた美羽を撒いてゴミ箱に隠れた瑞稀でしたが、その直後、最悪の再会が待っていました。
あの三人組です。 彼女たちは瑞稀の伊達メガネを奪い、その顔に見覚えがあると気づくと、忘れたかったあだ名を口にしたのでした「根暗石ちゃん」。 その言葉に、瑞稀の視界は灰色に染まりました。
ここで、瑞稀の過去が明かされます。中学時代の瑞稀は友達こそいないものの、一人の時間を好む平穏な生徒でした。
しかし三年のクラス替えで三人組と同じクラスになり、「暇だから」というだけの気まぐれで「玩具」に選ばれてしまったのです。
靴の中の画鋲、教科書一面の「死ね」、便器に突っ込まれたロッカーの中身。
いじめは毎日形を変え、クラスメイトは次の標的を恐れて見て見ぬふりをし、誰も瑞稀のために怒ってはくれませんでした。
家では母に心配をかけまいと「無」を演じ、いない存在である弟とだけ小声で会話し、嘘の「いいこと」を話しながら泣いてご飯を食べていたのでした。
決定的だったのは体育祭の予行練習の日でした。
体操服が消え、翌朝、名札を切り刻まれて池に沈んでいるのを見つけた瞬間、瑞稀の中で何かが切れました。
彼女は不登校となり、弟に教わったという呪いの儀式に没頭し、部屋の惨状を見た母は「気づいてあげられなくてごめんね」と泣いて抱きしめたのでした。
長い引きこもりの末、瑞稀は誰も自分を知らない理想学園を受験して首席で合格し、布団から出るという確かな最初の一歩を踏み出したのでした。
しかしその傷は消えず、三人組への憎しみも消えていなかったのです。
そして、あのショッピングモールでの再会の真実も明かされました。 瑞稀が真っ先に駆け出したのは、弟の予感を受けてのことでした。
美羽もまた三人組に虐められていたと知った瑞稀は、呪殺したいほどの憎悪を再燃させていたのです。
登壇会での対決も、美羽のためと言いながら、本当は自分のためでした。
ペイントジュース塗れの三人を見ても「こんなんじゃ足りない」と、瑞稀の心は闇を深めていたのでした。
場面は現在へ戻ります。 三人組に廃墟へ連れ込まれた瑞稀のバッグには、ナイフとマッチ、釘とわら人形が入っていました。
脅して、廃墟ごと燃やすつもりだったのです。
しかし計画はバッグを奪われて失敗し、瑞稀は踏みつけられ、絶望に呑まれていきました。
その時、鉄のバリケードが一撃で破壊されました。 土煙の中から現れたのは美羽でした。 彼女は駆け寄り、瑞稀を立たせて抱きしめたのでした。




