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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その13

 転校翌日の朝、クラス委員長となったことねが体育大会のメンバー決めを仕切り始めました。 


 ことねも瑞稀のことを覚えておらず、瑞稀は寂しさを覚えながら、足を理由に競技の欠席を認められました。


 ことねが瑞稀に向けて語った体育大会の歴史を、瑞稀はたぬき寝入りでやり過ごしたのでした。


 数日後に開催された体育大会は、一般住民まで参加する地方祭のような大規模イベントとなっており、瑞稀が司会、解説には今年同じクラスになったひとみが座りました。


 この世界のひとみはことねの家に住む、前の世界のミウミウと同じ立場であり、やはり瑞稀のことを忘れていました。 


 競技ではことねがキックラン競走を制した後、マイクを奪って「私は今年の生徒会長になります」と宣言し、瑞稀は理由のわからない焦りに襲われたのでした。


 綱引きでは美羽が一人で相手チームを吹き飛ばす規格外の勝利を収め、「瑞稀、私だけの瑞稀」と暗い執着を覗かせていましたが、瑞稀は気づきませんでした。


 放送席では、ロボットのように光のない目で自分を見る美羽に、瑞稀は「私は美羽のそばにいる資格がない」と思い詰め、彼女を「櫻井」と他人行儀に呼んでしまいました。


 美羽は「こんなの望んでいない」と駆け出して行ったのでした。騎馬戦ではことねが美羽におんぶされる無法の「騎馬」で無双し、「ミウミウ偉いって言ってもらう」と呟きながら気合を入れる美羽の姿に、瑞稀は嫉妬にも似た胸の痛みを覚えました。


 インタビューでも「櫻井さん」と呼ぶと、彼女はその名を繰り返しながら去って行き、瑞稀は気がつくと自室で涙を流していたのでした。


 翌朝、瑞稀は深夜にこっそり抜け出し、車椅子で櫻井家の豪邸を訪ねました。


 用件は、美羽を実家に引き取って欲しいというものでした。


 「彼女がいづらそうだから」という瑞稀の言葉に、和馬は渋りながらも話し合いを約束しました。


 帰り際、事情を知らない美羽とすれ違い、瑞稀は「さようなら、櫻井さん」と心の中で別れを告げたのでした。


 以来、美羽が倉石家に帰ることはなく、母は食卓が寂しくなったと肩を落としました。 


 ーー彼女は思いました。 『あ、そうですか』と。


 その際、母が「私たち二人だけね」と口にし、弟が抗議する一幕がありました。 この世界の弟の存在に関わる、不穏な言葉でした。


 ーーなぜ瑞稀は弟の幻を見たのでしょうか? それは彼女の理想と関係があるのでしょうか?


 登校日、瑞稀は教室を覗きました。ことね、彩乃、ひとみ、美羽の四人が優勝カップを囲んで盛り上がる輪に、見えない壁を感じた瑞稀は、また逃げ出したのでした。


 校舎裏のベンチで、瑞稀はついに認めたくなかった現実と向き合いました。


 実は足はもう治っており、車椅子も伊達メガネも自分を偽るためのアイテムだったこと。 


 そしてーー柳田庶務、田中書記、榊原会計、明里、竜也と善子といった上級生組が、この世界には最初から存在していないこと。 エタナの姿もなく、瑞稀は一人震えて塞ぎ込みました。


 そこへ、大きなバッグを持った美羽が能面のような無表情で現れました。 「ミウミウってもう呼んでくださいませんの?」と。


 彼女は瑞稀の肩を掴み、「貴方にとって、私ってなんですの?」と迫りました。


 瑞稀は「明るくて能天気な食いしん坊、私がボケたらツッコんでくれる」と答えましたが、「私の親友」という言葉だけは、自分に相応しくないという思いから喉に詰まって出せませんでした。 美羽は続きを待ち、そして裏切られたように言ったのでした。 「また、私のことを親友だと認めてくれますか?」と。

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