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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その12

 意識を取り戻した瑞稀は、病院のベッドの上にいました。 傍らには美羽がおり、駆けつけた母は泣きながら抱きついてきました。


 瑞稀は一か月以上も意識不明だったのです。 原因は不明で、頭の打ちどころが悪かったのではとのことでした。 あの日、瑞稀の家を訪ねて不在を知った美羽が、「ことねの家に行く」という嘘を見抜いて校庭に当たりをつけ、雪に埋もれた瑞稀を救出してくれたのでした。


 足の大怪我でしばらく入院とリハビリが必要となりましたが、幸い完治する見込みでした。


 しかし、退院が近づくにつれ、不穏な影が忍び寄っていました。


 見舞いに来るのは美羽と両親だけで、他の誰も来ないのです。そのことを口にした途端、美羽の目から光が消え、「治ってからは私のことだけを考えて」と告げました。 桜を見に行った時も、美羽は車椅子を許さずお姫様抱っこを強行し、桜ではなく瑞稀を濁った目で凝視していました。 いつも笑顔でツッコミを入れてくれたミウミウは、もうどこにもいなかったのでした。


 退院して家に帰った夜、瑞稀は決定的な異変を突きつけられました。


 美羽が帰宅しないことを尋ねると、彼女は「帰る家はない」「瑞稀が家出した私を拾ってくれた日から、ここが私の家」「この家でメイドとして住まわせていただいている」と答えたのです。 


 世界の「設定」が、瑞稀の知るものから書き換えられていたのでした。 それでも大量のご飯を前にした美羽の笑顔や、寝巻き披露で焦らして自慢げにワンピースを見せていじける姿には、瑞稀の知る彼女の面影が残っていたのでした。 


 なお、瑞稀に「誰もいない方向に会話なんて変」と返す美羽の言葉から、エタナの存在も認識されなくなっていることが示唆されたのでした。


 新学期、二年生になった瑞稀を待っていたのは、さらなる衝撃でした。


 クラス替えのないはずの理想学園で、瑞稀は「転校生」として教壇に立たされ、初めましての挨拶をさせられたのです。 生徒会長だったはずの自分がリセットされている? まさかの事態に瑞稀は気が遠くなり、彩乃だけが戸惑いを見せていたことに、気づけなかったのでした。


 復帰初日の教室では、クラスメイトたちが初対面の優しさで接してきましたが、美羽は「大丈夫ですわ。瑞稀には、私がいますので」とbotのように繰り返して全員を追い返すのでした。


 そして、かつて瑞稀と友情を育んだ彩乃までもが「初めまして、桐原彩乃と言います」と自己紹介をしてきました。


 胸を痛める瑞稀でしたが、彩乃は「私が貴方の太陽になります」と、かつて湊に向けていた台詞そのままに距離を詰め、美羽と「瑞稀は私のモノ」と張り合い始めたのでした。 


 しかし瑞稀が「ことねはどこ?」と尋ねると、二人は喧嘩をやめ、悲しい表情で「ことね……」と呟くのみでした。


 この書き換えられた世界で、ことねの身に何かが起きている? 瑞稀は誰かに説明を求めたい気持ちでいっぱいになるのでした。

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