倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その11
雪の降り積もった休日の朝、瑞稀は白銀に染まったグラウンドへやって来ました。
雪に飛び込んでアートを作り、一人微笑む瑞稀。 彼女にとって雪は、辛い現実を忘れさせてくれる特別な存在でした。
中学時代は引きこもりだった自分にとって、雪は不思議な存在。 瑞稀はスコップまで持参し、一日中夢中で自分の雪像を作り上げました。
夕方、エタナの声に導かれた母が迎えに来ました。 母は完成した雪像を見て涙を流しました。「こんなに笑顔の雪像、初めて見た」と。
瑞稀の作る作品はいつも暗かったこと、あの頃仕事にかまけて娘の苦しみに気づけず、気づいた時には「壊れて」しまっていたこと。
母は積年の後悔を独白し、謝罪したのでした。
ーーそれがなに? 今更、お母さんぶっている訳? ずっと、無視してた癖に。
瑞稀はそれに直接答えず、「お腹空いた」と笑顔で返し、二人は鍋の待つ家へ帰ったのでした。
翌日、瑞稀は再びグラウンドを訪れました。 母には「ことねの家に行く」と嘘をついての外出でした。
ことねの家は両親が帰省中の一家団欒の最中で、部外者の自分が行けるはずもなかったのですが、それは当然言い訳。
雪像の足元が埋もれないよう雪かきをしていた瑞稀は、足元を確かめずに雪を踏み、天然の落とし穴にはまってしまいました。
足を捻って抜け出せなくなったところへ、小さな雪崩が発生し、肩から下が完全に埋まってしまったのでした。
降りしきる雪が自分の足跡を消していく様に、瑞稀は「世界が私に消えて欲しいと願っているのかな」と自嘲しました。
三人組の件、悪霊の件、そして今回と立て続けの災難に、「私はこの世界で邪魔者だったのかな? ただ、やりたいことを実行しようと頑張っていただけなのに」という思いが胸をよぎります。
朧げになる意識の中、瑞稀は最後に「さようなら、ミウミウ」と呟きました。その時、「瑞稀!しっかりするのですわ!」というミウミウの声が響きましたが、瑞稀は
それを幻覚だと思いながら、意識を失ってしまったのでした。
ーーその時、瑞稀にとって美羽の存在は、モブではないと理解するのでした。




