倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その7
文化祭当日、瑞稀は校門で来場者を出迎えていました。
そこで中学三年生の黒田凛を小学生と間違えて土下座する羽目になり、「来年度は私が生徒会長になる」と宣戦布告を受けたのでした。
ーー彼女は思いました。 『どうぞ、ご自由に……』と。
開会式では校長の五秒挨拶に続き、全員一斉じゃんけん大会が開催され、決勝はことね対彩乃の対決となりました。 心理戦まで飛び出す熱戦の最中、何者かが彩乃にゴミを投げ込む事件が発生。 ことねはわざと負けて瑞稀に合図を送り、彩乃の優勝が宣言されましたが、一部の生徒からは怨嗟の声が漏れていたのでした。
ーー彼女は思いました。 『下らない。 モブの声がウザイ。 ただのイベントで一喜一憂なんて、するなよ……』と。
開会式後、瑞稀は彩乃に罵声を浴びせた生徒たちを集めて事情聴取を行いました。
中心人物は「はわわさん」こと吉澤ひとみ。 彼女は熱狂的なことね信奉者で、「ことね様に勝って欲しかっただけ」と開き直り、瑞稀に掴みかかる荒々しい本性まで見せました。
しかしゴミ投げについては彼女も無関係で、むしろ「神子様の勝負を邪魔した犯人を許さない」と怒り狂っていたのでした。
その後の文化祭で、瑞稀はミスコン優勝を果たしつつ、舞香との文化祭巡りという念願を叶えようとしましたが、凛が案内を要求して同行することになりました。
道中では廃棄予定の食材を平らげるミウミウや、ふれあい広場に出現した違法建築の「境内」でことね様への説法を行う吉澤との遭遇など、トラブルが続出したのでした。
体育館のことね展示会場では、瑞稀は雫と再会し、幼少期のことねの写真に聞き入りました。
そこへ彩乃が乗り込んで来て、ブーイングの件で泣き崩れ、はわわさんはその弱々しい姿に狼狽えました。 「彩乃」と名前で呼ぶことを条件に謝罪が成立し、和解が叶ったのでした。
しかしその場に黒幕こと黒田明里の姿がないことに瑞稀は気づきました。
実はゴミを投げた犯人は明里であり、舞台裏での事情聴取で彼女は「川端ことねに恨みがある」「組織ごと潰そうと思った」と動機を語ったのでした。
それでも結衣と善子はあっさりと明里を許し、田中書記も折れて、急遽舞台劇の内容変更が決まりました。
瑞稀は念願だったナレーション役を務め、文化祭は後夜祭まで無事に幕を閉じたのでした。
打ち上げでは、美羽が「転校前の私からは考えられない。あの時、瑞稀が話しかけてくれたから。 私、幸せでしてよ」としおらしく感謝を伝えましたが、瑞稀が胃薬で返すという台無しの一幕もありました。
帰り際の凛は「私も誰かと仲良くできるかな」と寂しげな姿を見せていたのでした。
文化祭後、私が預かっていた『ことね』からの最後の伝言が明かされました。
それは別れの手紙であり、「瑞稀ちゃんが生徒会長になってくれたおかげで破滅の運命を防げた」「貴方は世界を救った英雄」という感謝と共に、衝撃の真実が記されていました。
瑞稀の存在は将来非常に不安定であり、「小説の倉石瑞稀」と同じ道を辿るかもしれないというのです。 彩乃すら知らないその秘密を告げた上で、手紙は「辛い時は前を向いて。 貴方は小説の倉石瑞稀ではなく、私の大好きな瑞稀ちゃんだから」という温かい言葉で結ばれていたのでした。
ーーしかし、その文章には続きがありました。
『……って貴方は、そんなことを聞いて、感動するフリとかをするだよね? ふふふ。 面白かったよ? 瑞稀ちゃんのお芝居。 私、本当は知っているんだ! 本当の貴方は、そんなこと興味ないって。 ……でも、わかるんだ。 きっと貴方は違う選択を選ぶってね! ……だ、そうです』
「え〜ん。 感動だなぁ? ……うん。 待てよ?」
ーーたしか、ことねたちは意思疎通してたよね?
つまり、私の本性はあの女ーー姫様の方の川端ことねにもバレている訳?




