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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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倉石瑞稀の嘘だらけの物語 その4

 夏休みのある朝、私は瑞稀を起こします。 この日から瑞稀は、榊原結衣の事務所で「スリーガールズの秘書」を務めることになっており、黒スーツの正装で出勤しました。


 しかし与えられたのは採用期間一週間、学園体育館でのライブまでの任務。 その内容は実質、ただの雑用係だったのでした。


 炎天下の弁当買い出しに汗だくになる瑞稀に対し、結衣は相変わらずAI音声や明里の「通訳」越しにしか話しませんでした。しかし瑞稀が強引に肩を揉み、言葉を引き出すと、結衣はついに本音を爆発させました。


 結衣は選挙に本気で臨んでいたのに、ことねやミウミウを擁した瑞稀に敗れ、引き立て役にされたことをずっと根に持っていたのです。


 ーー彼女は思いました。 『実に滑稽だ』と。


 以後、素の榊原は驚くほどよく喋る毒舌家で、公認会計士として深夜まで大企業の仕事をこなす姿を瑞稀に見せつけました。 


 しかし、瑞稀が結衣の生活感のない家を訪れた日、事態は動きました。「心配してくれる人はいない」と漏らし、孤独に生きると決めていた結衣は、遠慮なく踏み込んでくる瑞稀に苛立ち、ついに「アンタのこと嫌いなの」と、アイドルらしからぬ負の感情をぶつけてしまったのでした。


 それでも瑞稀は帰らず、晩御飯を買って戻り、風呂の世話から添い寝まで強行しました。 噛みつかれても嬉しそうにする瑞稀に、結衣は心のナニカが高鳴るのを感じ、危険な感覚だと戸惑うのでした。 


 無断外泊がバレた瑞稀が母にこってり説教される様子を見て、結衣は「お母さんか、羨ましいな」と呟くのでした。


 迎えたコンサート本番、瑞稀は前座を買って出て校歌を熱唱し、観客を掌握しました。 しかし続けて歌った思い出の曲が、偶然にも榊原の過去、両親に置いていかれた記憶を呼び覚ましてしまい、メイン登場後、榊原はステージで動けなくなってしまったのでした。


 駆け寄った瑞稀に榊原は「見せ場を奪われた」と当たりましたが、瑞稀が「出番を奪われたら嬉しいと言っていたから、喜ばせるために頑張った」と答えると、榊原は笑い出し、「私はこのコンサートの主役、アンタはタダの前座よ」と瑞稀を押し除けて歌い始めました。


 観客は一連の騒動を演出と勘違いし、ライブは大成功に終わったのでした。


 瑞稀はさらにサプライズで、榊原が経験したことのない握手会を敢行しました。


 仏頂面だった榊原も、小さな女の子のファンには自ら屈んで握手し、両親の元へ嬉しそうに帰る少女を寂しげな目で見送るのでした。 任務終了を告げられた瑞稀でしたが、今の彼女を放っておけず、その夜も家に押しかけました。


 さらに明里まで呼び寄せ、「通訳気取りだった」と謝る黒田と榊原の仲を取り持ったのでした。 榊原は呆れながらも「私の取り扱い説明を6時間講習で学んでもらう」と満面の笑みで二人を捕獲し、賑やかな女子トークの夜となったのでした。 


 その様子を、私は不思議そうに見守っていたのでした。


 『瑞稀? 結衣はまるで、貴方みたいですね?』


 そんな私の発言に、瑞稀は私を睨み返しました。


 「……私が、あの『モブ』と一緒? 意味不明なことを言うんだね?」

 『モブですか……瑞稀。 貴方にとって今の日々はなんなのですか?』


 私が聞き返すと、瑞稀は淡々とこう言いました。


 ーーただの砂を噛むような日々だよ、つまらない。

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