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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
愛の檻編

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エピローグ

 まず最初に見えたのは、白い天井だった。 消毒液の匂い。 規則正しい機械の音。 窓から差し込む、夕方の光。

 

 ――ここ、病室だ。 暖房が効いている? 外は雪! まさか、あの日まで遡ったの? 


 私が横を見ると美羽が固まって、私を見ている。

 「……み、ず……き……?」

 

 美羽は驚愕の表情をしている。 まるで、奇跡が起きたみたいな反応だね?


 「う、嘘……だって、お医者様は、もう目覚めないかもしれないと……氷漬けの後遺症で、体だって……」

 

 ああ、そっか。 美羽からしたら、そうだよね。

 

 私はなんでもないように、ベッドから起き上がった。 点滴の管が引っ張られて、ちょっと痛い。 パジャマの袖をまくって、両腕を美羽の前に突き出してみせる。

 

 「じゃーん。 ほら、見て見て。 凍傷の痕もなーんにもなし! 無傷! ……エタナの奇跡、ほんとに起きちゃった」

 「…………っ」

 

 美羽の大きな瞳に、みるみる涙が盛り上がっていく。 次の瞬間、私は勢いよく抱きしめられていた。 点滴が、すごく引っ張られた。 痛い痛い痛い。

 

 「瑞稀ぃぃ……! この、お馬鹿! 心配、しましたのよ……! なぜ、雪遊びを一人でしていましたの!」

 「ご、ごめんって! ミウミウ、点滴! 点滴が抜ける!」

 

 わんわん泣きじゃくる美羽の背中を、私はぽんぽんと叩いた。 あったかいな。 夢の世界で繋いだ手と、同じあたたかさだ。

 

 ひとしきり泣いた後、美羽はハッと顔を上げて、私から飛び退いた。 耳まで真っ赤になっている。

 

 「……ま、まさか瑞稀。 貴方、覚えて……いらっしゃいますの? その、あちらの世界での、私の……」

 「愛してますの瑞稀! ……だっけ? ごめんね? 正直に言うと、意味わからないや……」

 「そうですの……でも約束してくれましたわね!」

 「うん。 私なりに美羽と向き合うよ!」

 「期待してますわよ、瑞稀!」

 

 うん、この賑やかさ。 これが私の帰りたかった現実だ。

 

 ーーでも。 浮かれてばかりも、いられない。 私は窓の外に目をやった。 この世界には、まだ悪霊の本体がいる。 私の戦いは始まったばかりだ。


 その時、病室の扉が開いた。 入ってきたのはお母さんとお父さんだった。


 「瑞稀! ごめんなさい! 昨日大丈夫だったからって、私……」

 「瑞稀? 聞いてた話と違うな? ピンピンしているな?」


 私は、入ってきた二人の相手をする。 その様子をニコニコしながら、美羽は見守っていた。 


 ーー平和な日常が戻ってきたんだね!


 そう、思っていた。 次の瞬間まではーー


 「……ほら、護も入ってきなさい」

 

 お母さんが誰かを呼んでいる。 護? それって、誰?


 「お姉ちゃん! 大丈夫だった? 僕心配したんだから!」


 入ってきたのは、中学生の制服姿の男。


 ーーでも、知ってる。 面影がある。


 この男は、私の弟だ。 数年前に死んだはずのーー


 ◇◇◇


 アタイは、リビングで我が家の猫のトラに餌をあげていた。


 「ニャ〜」

 「トラ〜 最近よく、食うじゃねぇか? ずんずん大きくなったりしてな?」

 「ニャ〜」


 まったく、かわいいたらねぇぜ! トラは拾ってきた、捨て猫だ。 名前を命名したのも、アタイなんだぜ!


 『ゼツボウ、クラウ』

 「うん? 今、なんか言ったか?」

 「ニャ〜」


 かわいいぜ! きっと、空耳だよな? 一瞬、嫌な気持ちになったけどーー


 


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