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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
愛の檻編

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この世界の正体

 「首謀者たちが何の用なの?」

 「首謀者とは心外ですわね! 私たちのことは、創設者と呼んでいただきたいですわ! そうですわよね、エタナ!」

 『美羽、そこは訂正するところではないかと。 それに私は関係……』

 「もう! ふざけないでよ!」

 

 私は美羽に詰め寄った。 私の中では、最高のシーンだったのに。

 

 「大体さあ! この世界はなに? 早く、お家に帰してよ!」

 「あら、よく言えたものですわね? 私は命の恩人ですわよ?」

 「うっ……」

 『理想学園の校庭で氷漬けになった凍死体が発見されました……』

 「エタナ! 縁起悪いことはやめて!」


 私は、飛び回る光の玉を懸命に追いかける。 しかし、当然捕まらない。


 「気持ちは本物だったもん! 全部本気だもん!」

 「存じておりますわ。 ……だからこそ、腹が立ちますの」


 美羽の声のトーンが、すっと下がった。 空気が変わった。


 「瑞稀。 貴方、綺麗な物語で終わらせて、それで満足するつもりでしたの? 『現実の世界でまたね』……あの言葉の意味、本当に分かっていまして?」

 「それは……ことねに、現実で会うってことでしょ?」

 「ええ。 つまり、文化祭でのことねの消失という『確定事実』に、さらにその先で起こるひとみの消失も、そして瑞稀! 貴方のことも、真っ向から喧嘩を売るということですわ。 この世界の理に。 もう、やめてくださいませ!」

 「……美羽?」

 

 ぐうの音も出なかった。 私は、綺麗に泣いて、綺麗に見送って、それで一つの物語を終えた気になっていた。 でも本当は、何も終わってない。 何も始まってすら、いないんだ。

 

 「……じゃあ、聞くけど」

 

 今度は私が、美羽を睨む番だった。


 「どうして美羽たちは、この世界を創ったの? みんなを、わざわざ夢の世界に閉じ込めて。 私をここに引き込んで。 ……一体何がしたかったの?」

 「それは……」

 「私を責める前に、そっちも大概でしょ! 創設者さん? ……なにがしたかったの美羽?」

 「うぐ……そ、それは!」

 『瑞稀は屁理屈が得意ですね?』


 美羽がたじろいだ。 エタナが『美羽、形勢逆転です』と無感情に実況する。

 

 「……いいですわ。 教えて差し上げますわ。 私の思いを……」

 

 美羽は観念したように、私に説明を始める。


 「この世界はね、瑞稀。 貴方だけを守る檻……になる、はずでしたの」

 「私の檻のはずでした? ……なんて勝手なの! 美羽! 私にはそんなのいらない! だから早く、元の世界に戻してよ!」

 『落ち着いてください瑞稀! ……これには訳が』


 エタナが、私を落ち着かせようとする。 ぶんぶんハエみたいに飛び回って、なにがしたいの? 


 ーー訳ってなに? 貴方がしたことじゃないの?


 「……予定が、狂いましたのよ」

 「予定?」

 

 美羽は、ことねが消えた場所を見つめて、忌々しげに呟いた。


 「この世界に、招かれざる客がたくさん紛れ込んでおりましたの。 私が瑞稀のために作った世界から、ことねたちが勝手に。 ……でも、もういませんわね? これからは、私たちだけの愛の巣ですわよ! ダレニモジャマサレナイ」

 「……はあ!?」

 

 美羽はそう言うと、私を凝視し始めた。 その目は、明らかに曇っていた。


 『瑞稀! 気をつけてください! 彼女は、悪霊に心を乗っ取られています!』

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