突然の計画変更も計画の内? ーーことね視点
文化祭当日の朝。 暗いカーテンで覆われた教室に、ひとみは美羽を呼び出していたわ。
「ひとみ? こんな所に私を呼び出して、一体……」
美羽の言葉が止まったわ。 視線の先には、神子様像があったの。 それに設置された、ビデオカメラ――
「これは?……ここは一体、なんですの……?」
「そこに座れ……美羽……」
美羽が、おそるおそるイスに座ったわ。 戸惑っているようね。
「お前に伝えないといけないことがあるんだ……実は、アタイはお前を利用するように命令されていたんだ……」
「……利用を命令?」
「ああ、お前を使って神子様を復活させる計画のな……」
「私を使って? 誰が、そんなことを……」
美羽の瞳が、不安に揺れたわ。 犯人に、心当たりがある顔ね。 そんな訳ないと否定しようとしているようね。
――ああ、ひとみは、とてもいい顔だと思っているでしょうね。
美羽は知らないのよ。 この儀式の最後のピースが、なんなのか。 「犠牲」という言葉の、本当の意味を。
「美羽。 ……瑞稀はな、こう言ったんだ……」
ひとみは蝋燭の炎を見つめながら、口の端を吊り上げたわ。
「生きる価値のない役立たずの存在だってな……」
◇◇◇
しばらくの時が過ぎたわ。 ひとみは、美羽の心を折るために、あの手この手を尽くしたけど。 美羽の心は折れなかったようね?
そこで、ひとみは用意していた、もう一つのプランに切り替えたわ。
「……瑞稀。 準備はできてるぜ!」
「……私は、悪くない。 こんなの知らない……」
「……ひとみ? 瑞稀の様子が変ですわ……」
ひとみは舌打ちをしていたでしょうね。 めざといお嬢様だ、と。
最初の目的通り、瑞稀の心を壊す。 それに、丁度いいと思ったのでしょうね。 瑞稀がうるさいから、わからせてやりたかった、と。 ほら、今もぶつぶつ呟いているわね。
血走った目で、美羽を見つめる瑞稀は、もう堕ちていたわ。
「……あ、ははは。 私は……」
「ひとみ。 ……貴方の発言は全て嘘ですわね。 全部、貴方が勝手に言っていることですわ! ねぇ? 瑞稀……」
美羽は、瑞稀に手を伸ばしたわ。 けれど、その手は弾かれたの。
「……本当だよ。 私も君も役立たずの無能な駒なんだ……生きる価値もない、神子様を蘇らせるためだけの……」
「……そんなこと、ありませんわ!」
席に着いていた美羽が、青ざめた顔で瑞稀を見上げていたわ。 涙目で、唇を震わせて。
ひとみは内心でほくそ笑みながら、表面では優しく微笑んでみせたわね。
「さあ。 早く言えよ! 本当のことをよぉ!」
「……私は、美羽のことが大……」
――その時だったわ。
暗幕が、突然払われたの。
差し込んだ廊下の光に、ひとみは思わず目を細めたわ。 立っていたのは、舞香。
「みんな! こんな所でなにやっているの? 今、会場でここの映像が流れて、大変なことに、なっているのに……」
――ひとみは舌打ちをしたでしょうね。 来たか、桐原舞香、と。




