駒が言うこと聞かないのも計画の内? ーーことね視点
時は文化祭直前。 深夜の校舎の教室で、瑞稀とひとみたちは、最終調整の打ち合わせをしていたわ。
これで、この打ち合わせも最後。 もはや、ここの常連になった瑞稀は、ひとみの隣にいたわね。
「……では。 文化祭の開催の挨拶のタイミングで、映像を流します。 ……皆、首尾よく頼みますよ……」
撹乱班、統率班、映像班、実行班。 それぞれに詳細を再確認していったわ。 ふと、ひとみは瑞稀の顔を覗き込んだわね。
「瑞稀……お前は、なに惚けてんだ?」
「ああ……美羽にとって、川端ことねの復活は、望んでいることなんだよね? でも、本当の彼女の性格を知ったら、美羽はショックを受けると思うな……」
あら。 私の話をしているのね。 ひとみは、訝しんでいたようね。
ーーあら、なにかしら瑞稀? そんなことない? 私たちは大親友だって?
そんなことを私に言われてもね? 私には貴方と過ごした記憶がないし。 話を戻すわよ。
「……彼女は、一年前。 この学校を私物化していた。 生徒たちは、自由や休みすら与えられずに、生きるゾンビとして学校生活を送っていた……逆らった生徒は処罰。 みんなが、彼女の理想の駒だった……」
瑞稀は、そう付け加えたわ。
まあ、ひどい言われようね。 もっとも、瑞稀は私を恐れて、自分の部屋で震えていただけだから、そう見えていたのでしょうね。
ーーえ? カレーライスが大好き? そうだけど。 やっぱり、美羽と貴方の話は本当だったのね。
「彼女の悪役令嬢っぷりを知ったら、美羽は幻滅するよ」
「大丈夫だ安心しろよ……」
――ひとみは、こう考えていたわ。 美羽は廃人になるのだから、関係ない、と。
偉大なる神子様のために犠牲になるのだ、光栄なことだろう、と。
「……なんだか納得いかないな?」
「そうかよ。 ……もういい、本当のことを話すぜ」
「……ひとみ? それってどういう……」
◇◇◇
ひとみは家に帰っていたわ。 そして、部屋の奥にある像に歩み寄ったわね。
「神子様……」
膝が、勝手に折れたわ。 ひとみは、像に縋りついたの。
けれど、何も応えてはくれないわね。 当たり前だわ。 それは、ただの像なのだから。
「会いたいよ神子様。 ……アタイは、ただ……貴方のそばに居たいんだよ。 ……それで、名前を呼んで。 アタイは恥ずかしがりながら、頷くんだ……」
「アタイは……神子様と、友達になりたかったんだよ……」
ろうそくの炎が、ゆらりと揺れたわ。 像の神子様は、何も言わない。 いつだって、ひとみを無表情に見つめているだけ。
「……待っていてください。 もうすぐですから……」
理想のためなら、ひとみは、どこまでだって堕ちるつもりなのね。 例え、他の娘の気持ちを利用しても――




