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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
VSことね編

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彩乃と舞香のすれ違い ーー舞香視点

 私が中学二年生の春。 私とお姉ちゃんは、この土地に引っ越してきた。


 きっかけは、母方のおばあちゃんが亡くなったこと。 この村に縁。 つまり、家族がいなくなったから。


 あの事件で、霊感もなくなった私たち。 私たちはどうしても、お父さんが残した持ち家で暮らしたかったんだ。

 

 でも、村のお偉いさんの何人かは、私たちが村から出ることに難色を示していたらしい。 私たちを外に出したくなかったんだと思う。


 それでも、私たちがここに来られたのは、美紀子さんのおかげだった。 


 八代美紀子さんは、亡くなったお母さんの、親友だったという人。 その人が村の人たちを説得してくれて、ようやく私たちは村を出ることが許された。


 お姉ちゃんと二人暮らし。 中学三年生のお姉ちゃんと、二年生の私。


 そんな私のお姉ちゃんは、とっても甘えん坊だった。


 「今日のごはん何にする? 私が食べたいのはね! ハンバーグなの!」

 「じゃあ、ハンバーグで……」

 「やった!」


 料理が得意で、いつも私にべったり。 村にいた時は、美紀子さんやおばあちゃんは、私たちを見て笑っていた。


 「まるで舞香ちゃんのほうがお姉ちゃんみたいですね」

 「……あの二人を見ていると、善子を思い出す……」


 料理上手なお姉ちゃんが、私は大好きだった。


 ーーあの夜までは、このまま日々が過ぎていくと思っていた。


 ある日の夜だった。


 「舞香、ちょっと買い物に行ってくるね〜」

 「お姉ちゃん! なんでこんな時間に行くの?」

 「だって、筆記用具を明日買うの面倒だし……」

 「もう! 気をつけて行くんですよ?」

 「うん!」


 私は、眠くなったのでそのまま寝てしまった。


 次の朝。 目を覚ますと、お姉ちゃんがいなかった。


 また出かけたのかな。 最初はそう思った。 でも、なんだか嫌な予感がする。


 いつもなら、朝は私がお姉ちゃんを起こすのにーー


 そして、その予感は当たっていた。


 ピンポーン。


 チャイムが鳴って、私は玄関に出た。 そこにいたのは、見知らぬ女の人だった。 そして、その人の腕の中に抱かれていたのはーー


 「お姉ちゃん!」


 ぐったりとしたお姉ちゃんが、お姫様抱っこされていた。


 知らないその女の人は、綺麗な人だった。 優しくて、眩しい瞳をしていた。


 私は慌てて、お姉ちゃんを寝床に運ぶよう、その人を誘導した。 


 私は、なにがあったのか尋ねたが、嘘だと。 すぐに分かった。


 それでも、私はその人を問い詰められなかった。 お姉ちゃんを家まで運んでくれた、ことに感謝した私。


 「……連絡先、教えてもらってもいいですか」

 「いいわよ」


 川端ことね、と名乗ったその人と、私は連絡先を交換した。 ことねお姉ちゃんは、それだけ言うと、笑顔で帰って行った。


 ーーその日を境に、お姉ちゃんは、別人になってしまった。


 ことねお姉ちゃんと初めて会った、あの日から。


 お姉ちゃんの様子は、ずっとおかしかった。


 まるで人が変わったように、甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくるお姉ちゃん。 今までは私に甘えてばかりだったのに、急に「お姉ちゃん」らしく振る舞いはじめた。


 「今日の晩御飯、なにが食べたい?」

 「……お姉ちゃんはなにが食べたいの?」

 「私? ……私のことはいいのよ……」


 ーーまあ。 それだけなら、私も寂しいけど、問題ない。 それよりもーー


 夜、私が寝たフリをしていると。 ひっそりと、涙を流しているお姉ちゃんがいた。 布団の中で、声を殺して。 「怖い、嫌だ」と、肩を震わせて。


 私には、それがたまらなく嫌だった。 知っているお姉ちゃんが、どこかに行ってしまったみたいで。 


 ーーなんで? 昔みたいに、私に甘えてくれないの?


 だから私は、ことねお姉ちゃんに電話した。


 「もしもし。 舞香……」

 「ことねお姉ちゃん! ……お姉ちゃんが、おかしいの」

 「……そう」


 電話の向こうで、ことねお姉ちゃんは、しばらく黙っていた。


 そして、ぽつりと言った。


 「……舞香。 あなたのお姉さんはね、中二病なの」

 「中二病?!」

 「そう。 いないはずのものが、視えてしまう。 ……そして、自分で勝手に悟ったような態度をとるの……」

 「……そうなんだ」


 その時の私は、その言葉の意味が、よく分からなかった。

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