私の知らない私 ーーことね視点
一番になれば友達ができる。 そうなれば、一人ではなくなる。 そう思った私は、早速実行したわ。
勉強の科目はなんでも一番。 運動もかけっこから球技までなんでもトップ。 その他、細かい所までなんでも上を目指したわ。
そして。 勉強も、運動も、人望すらも。 私は、手に入るものは、すべて手に入れた。 ーーそうじゃないと、ことねに示しがつかないでしょう?
神子なんて大層な肩書きを背負わされた私が、凡庸であっていいわけがないもの。
崇める者には、崇めるに足る私たちの姿を。 侮る者には、制裁を。
――そうやって、私は自分の居場所を、力ずくでこじ開けてきたのよ。
この学校に来てからもそう。 私は常に、頂点であり続けた。 誰よりも高く、誰よりも遠くを見渡せる場所に。
私が、誰かの下にいるなんて。 そんなこと、ありえないのよ。
ーーそのおかげで、今の私は生徒会長。 次回も当然、生徒会長だと思っていたのに、それが今揺らいでいるのよ。 私だって信じられないわ。
その感情の正体。 それは、その相手に何か――期待のようなものを、覚えたとき。 私の目標を叶えてくれる相手だと、見込んだとき。
ーーあるいはその両方よ。
あら? なんで私、こんな「もしも」の話をしたのかしら。 今は、貴方の疑問について考えないといけないのにね?
可笑しいわね。 私の辞書に結局、友達なんて文字、あるはずもないのに。
でも、最近なのよ。 何だか、おかしいの。 胸の奥に小さな棘が刺さったみたいに、大事なことを忘れているようなの。
ーーそう。 倉石瑞稀の存在をね。
ずっと、疑問だったわ。 あの子を見ていると、どうしてか目が離せない。 崇めてくるわけでも、怯えてくるわけでもない。 ただ、まっすぐにこちらを見てくる、あの目が。
なぜか気になって、彼女の体を調べようとしたわ。 残念ながら美羽に、止められたけど。 ーーあら? 貴方も、瑞稀に触れた時違和感があったの?
そうね。 私もずっと疑問だったの。 だけど、さっきようやくわかったの。 その正体が。
美羽と瑞稀が語った、私には覚えのない記憶の話。
その話では、なんと。 この私、川端ことねが、瑞稀を生徒会長に推薦していたというのよ。 信じられる? 誰の下にもつかないこの私が。
わざわざ他人を上に押し上げるような真似を、したというの。
信じられない思いが、まだ拭えないわ。 瑞稀に、そこまでの魅力があるのかしらね。 それとも、私の知らないどこかで、何かがあったのかしら。
ふふ。 おかしな話よね。 早く、思い出したいわ。
ーーそう。 貴方も、瑞稀に何か感じるものがあるの? あの子を前にすると、胸の奥がざわつくような。 そんな心当たりが、凛にもあるんじゃなくて?
だったら。 それが、貴方の理想を見つけるヒントになるかもしれないわね。




