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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
VSことね編

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186/188

私が今やりたいことは……

 お母さんが、泣いている。 声を上げて、子どもみたいに、泣いている。 


 私は、立ち尽くしていた。何を言えばいいのか、わからなかった。


 この話は、絶対にお母さんに聞かれてはいけなかったのに、油断してたよ。

 

 「……瑞稀、こっちに来て、座って」


 お母さんが、震える手で、ソファを指した。私は、ふらふらとそこに座った。


 お母さんも、隣に腰を下ろした。涙でぐちゃぐちゃになった顔が、私を見ている。

 

 「ねえ、瑞稀。もう一度、聞かせて」

 「……」

 「元の世界って、なに? 弟って、誰のこと?」

 「……お母さん、それは」

 「ごまかさないで!」

 

 お母さんの声が、低くなった。いつも優しいお母さんからは、想像もつかない声だった。

 

 「ごまかさないで! お願いだから!」

 「……」

 「瑞稀、中学生の時もそうだったじゃない! 『弟』ってなに? ……瑞稀、護はもういないのよ……」


 護? マモル? ーー誰それ?

 

 「……お母さん、いま、なんて?」

 「えっ……?」

 「護って誰?」

 お母さんが、ぴたりと泣き止んだ。私の顔を、まじまじと見つめていた。

 

 「……覚えて、ないの?」

 「……」

 「……瑞稀。 中学三年生の時に、学校に行けなくなって……それで突然、弟が呪いが何かって言い出して……部屋の中で変なことを……」

 

 私の頭の中が、真っ白になっていた。

 

 「お母さん、それは……」


 「半年よ、半年。 あんたずっと、おかしかった。 それでやっと……やっと、元に戻ってくれて……」

 

 お母さんの手が、私の頬に触れた。冷たい手だった。


 「理想学園に入って、瑞稀が本当に楽しそうで……美羽ちゃんや舞香ちゃんが家に来ていた時、お母さん、どれだけ嬉しかったか……」

 「……」

 「なのに。 なんで、また! どうしてなのよ、瑞稀!」

 

 ーー違う。 違うよ、お母さん! 


 なんで、お母さんは、こんなに泣いているの?

 

 「お母さん……」


 私の声が、震えていた。


 「私……お母さんを、傷つけるつもりなんて、なかった。 ただ……ただ、ちょっと、混乱してて」

 「……」

 

 私は、お母さんの手を、両手で握った。 震えているのがわかった。

 

 「私、ここにいるよ……」

 「……瑞稀?」

 「お母さんの娘の、瑞稀だよ。 もう大丈夫。 問題なんてどこにもないよ!」

 「……本当かしら? また、瑞稀が変になったらって思うと私……」

 

 お母さんの目から、また、涙がこぼれた。 今度は、さっきまでの嗚咽じゃなかった。静かな、ほっとしたような、涙だった。


 ーーそっか、だからこの世界にお母さんは、存在するんだね。


 きっと、お母さんは後悔してたんだ。 仕事ばっかりで、私の様子に気づかなかったことを。


 ーーなら、今の私のやりたいことは一つ。


 78、三人組に復讐する

 79、お母さんを安心させる


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