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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
VSことね編

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外伝 柳田健太VS黒田幕斗 その四 〜決着、そして

 翌週。 黒田興産株式会社、本社ビル。 最上階、社長応接室。


 健太は、雄二とその父・藤崎康夫を伴って、その応接室に乗り込んでいた。


 正面のソファに、その男は座っていた。 


 スキンヘッド。 鍛え上げられた巨躯を高級スーツに包み、左目の下には古い傷跡。 指には極太の金の指輪。 葉巻を咥え、ぎろりとした眼光で、健太たちを見据えていた。


 黒田幕斗。 五十二歳。 その隣には、結衣が控えている。


 幕斗は、入ってきた健太を見て、一瞬だけ眉を動かした。


 「……俺は前言ったはずだが? 邪魔するなと……」

 「……」


 腹の底に響く、地鳴りのような声だった。


 「オッサン、無茶なことしやがって……」

 「無茶じゃねぇぞ、小僧?」


 幕斗は葉巻を灰皿に押しつけた。


 「商売だ。こっちは、ちゃんと契約書通りにやってる」

 「その契約書のことで、お話があります」


 健太が前に出た。


 「黒田社長。 第一銀行・アジサイ支店長の不正、本日付で銀行本部に告発しました。 同時に、金融庁という国の役所にも、報告済みです。 お宅の金貸し会社にも、近々調査が入ります」


 幕斗の眉が、ぴくりと動いた。


 「それと、藤崎精密工業の契約『説明不足で無効』として、父の顧問弁護士団が訴訟を準備しています」


 応接室が、静まり返った。 幕斗は、葉巻を新しく取り出し、火をつけた。 煙が、ゆらりと立ち昇る。


 「小僧……」


 低く、唸るような声。


 「俺の商売、邪魔する気か」

 「商売じゃない、これは略奪だ!」

 

 健太は、引かなかった。


 「藤崎精密は、六十年続いた町工場だ。あんた一人の遊びで、潰していい会社じゃない!」

 「ほう」

 

 幕斗は、ぐっと身を乗り出した。


 「面白えガキだ。 ……やはり、俺の睨んだ通りだな」


 幕斗は、長いこと健太を睨んでいた。 それから、ぐっと結衣に目を移した。


 「……結衣」

 「はい」

 「契約解除の書類、用意しろ」


 結衣の目が、見開かれた。

 「社長、それは!」

 「いいから、やれ!」


 幕斗は立ち上がった。 スキンヘッドが、応接室の照明を反射する。


 「柳田の倅。 今回は、お前の勝ちだ。 ……だがそれはお前の父親の力であってお前の力じゃない」

 「……」

 「それから、覚えておけ」


 幕斗の目が、鋭く光った。


 「俺の商売、止めたわけじゃねぇ! 藤崎精密は、たまたま運がよかった。 それだけだ」

 「次、別の会社で同じことをやったら!」


 健太は、引かずに言った。

 

 「俺は、また来る」

 

 幕斗は、ぐっと健太を見据えた。 そしてにやりと、笑った。


 「……楽しみにしてるよ、小僧」


 数日後、藤崎精密工業の工場。 職人たちの槌音が、いつものように響いていた。 藤崎康夫は、健太と一緒に来ていた秀五郎の手を握り、何度も頭を下げた。


 「柳田の旦那、健太くん……本当に、ありがとうございます」

 「いえ。当然のことをしただけですよ、藤崎さん」


 秀五郎が、穏やかに微笑んだ。 工場を出ると、夕陽が下町を赤く染めていた。


 「健太」


 歩きながら、秀五郎が呟いた。


 「お前、よくやった」

 「親父……」

 「だが、覚えておけ。黒田幕斗は、これで終わる男じゃない。次は、もっと巧妙に、もっと容赦なく来る」

 「……ああ」

 「お前はそれでも戦うのか?」


 健太は、頷いた。 そんな彼に、秀五郎は一瞬だけ微笑んだ。


 その帰り道、健太のスマートフォンに、メッセージが届いた。


 相手は彼女の彩乃から。


 『お疲れさま。 今日、ご飯作って待ってるね!』


 健太は、小さく笑った。


 そして遠く、ビルの最上階で、葉巻を咥えてこの街を見下ろしている男の影を、思い浮かべた。


 ーー黒田幕斗。次は、必ずあんたの首を取る!


 しかし、二人の戦いは、まだ始まったばかりだった。


 ◇◇◇


 生徒会室で幸子は、自慢気に脚本を読み上げていた。 


 彼女が脚本をした芝居劇『柳田健太VS黒田幕斗』を読み上げたのである。


 読み終わった後の生徒会室では、瑞稀が疑問を投げかける。


 「脚本は、面白かったけど? 途中で入ってくる、サッチーの話ってなんだったの? アレがなかったら、もっとわかりやすいと思うけど?」


 彼女の質問に、幸子はやれやれとポーズをとる。


 「脚本家特典ですよ! やはり目立たないとね?」


 幸子はそう言うと、自分をアピールするのだった。

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