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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
VSことね編

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外伝 柳田健太VS黒田幕斗 その二 〜仇敵たちとの交戦

 体育館に、黒田明里がいた。 長い黒髪、整った顔立ちの彼女。 クラスでは「アカリン」と呼ばれているアイドルだが、その父親の家業の真実を知る者は少ない。


 健太は、明里の前に立った。


 「明里」


 明里は顔を上げた。 冷ややかな瞳が、健太を見上げる。

 

 「健太? 貴方が私に話しかけてくるなんて、どうしたのよ?」

 「お前の親父さんに、会わせてほしい」


 明里の表情は、わずかにも動かなかった。


 「健太。 一つ、忠告しておくわ」

 「何だ」

 「父は、あなたの想像してる『普通の社長』じゃないの。 半端な気持ちで挑めば、潰されるのは……」

 「忠告、ありがとう」


 健太は薄く笑った。 


 「でも、藤崎精密の三十二人の職人さんたちと、その家族の生活がかかってる。引くわけにはいかない」

 

 明里は、健太を見つめたまま、しばし黙った。


 「……勝手にしなさい」

 

 その瞳の奥に、ほんの一瞬、複雑な何かが揺れたのを、健太は見逃さなかった。


 

 後日。 放課後、生徒会室。 


 健太が扉を開けると、窓際に結衣が立っていた。


 「来ると思ってたわ、健太」


 結衣は振り返り、薄く笑った。


 「藤崎精密工業の件で、何か御用?」


 健太は鞄から書類を取り出し、机に置いた。


 「黒田興産の悪知恵班に、お前が入れ知恵してるんだろ、結衣!」

 「だったら、どうなのかしら?」


 結衣は否定しなかった。 悪びれもせず、足を組み直す。


 「ええ。あの契約書の雛形、私が監修したわ」

 「目標未達で株を奪う条項。 売上の計算方法が、わざと曖昧に書かれてる。 これじゃ、貸した側が勝つに決まってる! お前らしい卑怯な手だ!」

 「なによ? 合法よ?」

 「合法と、正しいは違う!」


 健太は、結衣を真っ直ぐに見据えた。 彼の目には、正義が宿っていた。


 「藤崎精密は、創業六十年の町工場だ! 三十二人の職人とその家族の生活が、あの会社にかかってる。 それを、契約書の罠一つで奪うのか! ふざけるな!」


 そんな健太を、結衣は冷笑する。


 「健太。 ビジネスに、感情論は通用しないわ」

 「感情論じゃない! これは、契約のルール違反の話だ!」


 健太は次の書類を出した。


 「この契約書。 国の決めたルールで、『お金を借りる人に、リスクをきちんと説明しなさい』って義務がある。 それを守ってない。 説明不足で、契約自体を無効にできる可能性があるんだぜ?」


 結衣の指が、ぴくりと動いた。 


 「……それを、どこで」

 「親父が、この街の地主だからな。 手を借りるのは癪だが、背に腹はかえられねぇよ」


 健太は薄く笑った。


 「柳田秀五郎。 この地の筆頭地主。 商売で起きるトラブルは、全部親父の耳に入る。 藤崎精密の件も、ウチの顧問弁護士たちが、徹底的に調べ上げた」


 結衣の表情が、初めて大きく動いた。

 「……柳田秀五郎が、動いてるの?」

 「いや、借りたのは名前だけさ!」


 結衣はしばし沈黙した。そして、静かに口を開いた。


 「……面白いわね、健太。 でも、それだけで黒幕を止められると思ってる?」

 「思ってないさ」


 健太は身を乗り出した。

 

 「ここからが、本番だ」


 そんな二人の様子を、他の生徒会のメンバーは見ていた。


 「……えっと。 何かな? ドラマの撮影中なのかな?」

 「瑞稀! 貴方、手が止まってますわよ! 早く帰って、ご馳走を喰らいますわ!」

 「おい! 健太とゆいゆい! お前たちも、働けよ!」


 サッチーの注意により、二人は生徒会の業務を始めるのだった。


 ◇◇◇


 放課後の体育館に、結衣とサッチーの姿があった。


 「まずは腹筋、五百回!」

 「ご、五百?」

 「次、発声練習! 校舎の屋上まで響かせなさい!」

 「えええっ!」

 「最後、ダンス! 振り付け完璧によ!」


 サッチーは、汗だくになりながら、必死に食らいついた。 なぜか、結衣は容赦がなかった。 そして、やたらと熱かった。


 「ゆいゆい……どうしてそんなに、私に……?」


 息も絶え絶えのサッチーが、ぽつりと尋ねた。 結衣は、ふと遠い目をした。


 「私、スポコン物の教官に憧れていてね……」

 「えっ!」

 「でも、二人とも優秀だから、諦めてたわ……」

 「えええっ! ……つまり私は、ただのおもちゃですか?」

 「人聞きが悪いわね! 一石二鳥の間違いでしょう?」


 夕日が、二人を照らす。 そんな二人の様子を明里と善子と竜也が見ていた。


 「二人とも楽しそうよね?」

 「ところであんなに、特訓する必要ある?」

 「フレーフレー! フォーガールズ」

 

 竜也は、次のライブ用に、四人用の応援ポーズを考えるので大忙しだった。

 

 


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