廃墟に囚われた瑞稀
三人組に再会したのは、あの日だ。 ショッピングモールで舞香と櫻井さんの服を選んでいた時、なんだか嫌な予感がした。 弟の方を向くと頷いている。
駆け出していく。 私の様子を不審に思う舞香も、一緒についてきた。
そして目撃する。 アイツら三人をーー
頭が真っ白になっていた。 でも、足はなぜかアイツらの元に向かっていた。
すぐに三人組は去っていったけど、終わった後で、私はトイレにこもった。
その後、凛と櫻井さんが話している所を後ろから聞いて、櫻井さんが三人組にイジメられていたことを知った。
さらに、海外では元々は人見知りではなかったこともーー
私ははらわたがにえくり返っていた。 そして、アイツらを呪殺したい気持ちが再燃した。
私は理想学園の生徒会長なんだ! アイツらを制することができるーー
帰国後、櫻井さんとアイツらの元へ乗り込み、アイツらを孤立させることができた。
ーーただ、それだけだった。
「まったく! 一時はどうなるかと思いましたわ。 瑞稀? 浮かない顔をして、どうしましたの?」
「⋯⋯はは、力が抜けて来た。 怖かったよ⋯⋯ミウミウ⋯⋯」
「もう! 瑞稀ってば⋯⋯おんぶしてあげますわ!」
「ごめん。 結局、無駄だったみたいだね。 あいつら全然懲りてないよ」
「もう! そんな奴ら、ほっとくのですわ! ⋯⋯そんなことよりも、いい思い出をありがとう! また、瑞稀からいただきましてよ。 まったく、瑞稀は私にどれだけの恩をくださいますの? ⋯⋯私、貴方への愛で押しつぶされそうですわ」
ミウミウが私を見て、ニコニコ嬉しそうにしている。
ーー違うんだミウミウ。 本当は自分のためだったんだよ。
その後、三人組が私たちを襲う予定だったと知って。 私は自分の愚かさに気づいた。
ミウミウが海外から持ってきた、ペイントジュースで汚れたアイツらを見ながら、私は思っていた。
こんなんじゃ、足りないーー
アイツらには、もっと苦しんでもらわないといけない!
◇◇◇
ここは廃墟の中、アイツらによって、私は連れ込まれてしまった。
「ねえ? 根暗石?」
「⋯⋯」
元から人気がなかった所だったのに、ご丁寧にこんな場所に移動するなんて。
しかも、鉄のバリケードで密室までつくるなんてーー
好都合だ、ここでバッグの中にあるナイフで脅して、怯んでいる間にマッチで廃墟ごと燃やしてやるーー
私は、バックを一瞬見た。 ーーしかし、それが命取りだった。
「おい! そのバッグ寄越せ!」
「あ? ⋯⋯おいおい。 ウケる、なにこれ?」
「ナイフにマッチに釘とわら人形? 根暗石らしい趣味〜」
「返せ……」
「え〜」
ーー失敗した。 これじゃあ、アイツらを殺せない。
絶望感が私を襲う。
「はははは⋯⋯お前らなんて、呪ってやる!」
バッグに向かって、体当たりをする私。 しかしーー
「はあ? なにしてんのコイツ?」
「キッショ! 高笑いしてやんの~」
「オラ! 根暗石は転がってろよ!」
私は踏み潰された。 頭の上で、グリグリと足が動いていた。
そして、三人組はニチャニチャ笑い始めた。
最悪だ。 踏みつけられた絶望感で、こころが軋み、目の前が暗くなる。
ーーその時だった。 建物が軋んだ。 元々、ボロボロだった廃墟なので、自然倒壊を疑った三人組だったが、これは違うーー
バリケードが破壊された? あんな、鉄の塊を? そんなの大型トラックでも無理だよ! しかも、一撃で? なにが起こったの?
土煙が上がって前が見えない。 しかし、大雑把ではあるけど、様子は見えた。
「⋯⋯なんだよ? これ!」
「バリケードが破壊された?!」
「鉄でできてたんだぞ? あり得ないだろ!」
そんな、驚く三人組は、バリケードを破壊した犯人に気づいた。
「瑞稀!」
彼女が、私に向かって駆け出してくる。
そして、あっという間に、私を立たせて抱きついてきた。
「瑞稀⋯⋯」
「⋯⋯櫻井さん」
鉄のバリケードを破壊したのは、櫻井さんだった。




