掘り起こされた因縁
休日の商店街を、歩いていた。 しかし、誰もいなかった。
ーーこの世界にはここは必要ないようだった。
私は、櫻井さんとことねが話していた内容を思い出す。
「そういえば、湊もこの世界にいましたわね。 どうしてですの?」
「湊はね。 賑やかな家庭が好きなんですって。 きっとあんたが帰ってきたら、満足して消えるわよ」
ことねの発言で、なんとなくだけど、この世界について理解できた。
ーーこの世界にいる人は『理想』を叶えたら消える、ということが。
だったら、私の理想はただ一つ。 生徒会長になることだよ!
そうやって、自分の心を偽り行動を始めた。
私の今の服装は制服姿。 理由は、柳田家に向かおうとしているからだ。
私が生徒会長になるには、協力者が必要だ。 そこで、秀五郎さんに協力を頼むつもりだった。
しかし、柳田家に到着した私を待っていたのは、無人の柳田家だった。
チャイムを押しても反応なし。 玄関の扉が開いていたので、声を上げながら入って見ても誰もいないーー
「⋯⋯そっか居ないんだ」
私は小さくこぼすと、その家を後にした。
俯きながら、誰もいない街中を歩く私。
これで、アテがなくなってしまった。 私はずっとこの世界に閉じ込められたままなんだーー
そう思っていると、後ろに誰かの気配を感じた。 私が振り向くと、その人は隠れてしまったが、絶対に誰かがいた。
おそらく、櫻井さんだ。 そう思った私は、彼女の死角に入った途端、走って逃げる。
「Why!」
突然なことに驚いて、大声をだした櫻井さんが、私がダッシュした方向に、猛スピードで駆けていった。
一方私は、設定されていたゴミ箱の中に隠れていた。
生臭い臭いが、鼻腔に入ってくる。 私は外に出た。
ーー自分の体がゴミ臭かった。 まあ、これが私らしくていいや。
だから、気づかなかった。 私のことを他にも見ている人達がいたなんてーー
「うわ、きっしょ!」
「マジあり得ないんですけど?」
「イカレてんじゃね?」
声がした方を向くと、彼女たちがいた。
ーー転校前の櫻井さんを、執拗にイジメていた三人組だ。
知らないフリをして去ろうとするが、そうはいかなかった。
「⋯⋯無視とか、舐めてる?」
「ゴミ臭女の分際でね~」
「おい! コッチ向けよ!」
羽交締めにされて、強引に視界を固定される。
ーー二度と見たくなかった、彼女たちの顔があった。
「私たちさ~ 暇なんだよね~」
「なあ? そのメガネ取れよ!」
「⋯⋯よし、取った。 ⋯⋯あれれ? 伊達メガネかよ!」
ーーやめて! その声がでない。
私のアイテムが奪われてしまった。
メガネがないと、私は駄目なのにーー
彼女たちが、ニヤニヤしながら私を見つめる。
やめて! 見ないで!
「伊達メガネなんかかけて、頭いいフリ?」
「⋯⋯ていうか。 お前、見覚えあるぞ?」
「おい! その汚い面、よく見せろ!」
髪の毛を掴まれる。 嫌だ、見ないでよーー
彼女たちの口元が、ニチャと吊り上がった。
そして、忘れたかったあだ名を、彼女たちは口にしたーー
「⋯⋯案外、覚えているもんだな~」
「まあ、コイツは傑作だったし!」
「ホラホラ⋯⋯また玩具になってくれるよね?」
ーー根暗石ちゃん。
その言葉を聞いた時、私の視界は灰色になるのだったーー




