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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
愛の檻編

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櫻井美羽とは何?

 校舎裏のベンチに、私はまた腰掛けていた。 


 ーー実はもう、車椅子が必要ないほど、足元は治っていた。 私は敢えて、そのままの生活を送っていたのだった。 


 この伊達メガネと一緒だ。 私は自分の目を、他人に見られたくなかった。 自分を偽るのに最適なんだ、このアイテムたちはーー


 私は、今までアイテムで制限していた現実を認める。 この世界の違和感。 上級生組が存在しないことをーー


 いつも私を試す様な態度で見つめる、正義感がある柳田庶務。 


 中二病だけど、私を導いてくれた、田中書記。 


 プライドが高くて、目立ちたがり屋の、榊原会計。


 文化祭でいろいろあったけど心の友、黒田明里。


 そしてバカップル、立川竜也と新田善子。


 彼、彼女たちはこの世界に存在してなかった。 そのことを、私は知っていた。 けど、認めたくなかった。 認めたくないよ! こんな世界ーー


 「⋯⋯エタナ? エタナもいないの? ⋯⋯私はどうしたらいいのよ」

 「瑞稀⋯⋯」


 私が一人で震えて塞ぎ込んでいると、誰かが私を呼ぶ声が聞こえた。 


 私はエタナだと思い、期待して顔を上げる。


 「エタナ! ⋯⋯ひぃ」

 「瑞稀⋯⋯」


 そこには無表情の櫻井さんがいた。 彼女は大きなバッグを持っていた。 


 「⋯⋯隣、いいかしら」

 「どうぞ⋯⋯」


 私はメガネをかけて、立ちあがろうとする、しかし櫻井さんが私を止めた。


 「⋯⋯瑞稀。 お腹が減ってますのよね? だから、一緒に食べましょう」


 まただ、二学期の時と同じ状況になってる。 あの時も彼女はこうやってーー


 笑顔で。 そう考えた私の意識が止まる。 彼女は笑っていなかった。 いや、それどころか、能面だったのだ。


 「⋯⋯櫻井さん」

 「⋯⋯ミウミウってもう呼んでくださいませんの?」

 「へ?」


 私は戸惑う。 そんな彼女の目は真っ暗だったーー


 「瑞稀は私に、色々なことをしてくれましたわよね?」

 「⋯⋯」


 顔を私から一切動かさず、口だけが動く彼女。


 「私は貴方に、恩をいただきました。 ⋯⋯そう、たくさんのね」


  櫻井さんが、私の体に触れようとする。 私は少し距離を取る。


 「⋯⋯貴方は、私のことどう思っていますの?」

 「⋯⋯え?」

 「貴方にとって、私ってなんですの?」


 彼女が私の肩を両手で掴んだ。 私は抵抗する。


 「⋯⋯ちょっと、怖いよ。 こんなのらしくないよ!」

 「⋯⋯らしくない? 私のこの行動がらしくない⋯⋯」

 

 私が知っている櫻井美羽は、こんなんじゃない。 彼女を睨み返す。


 「貴方はいつも明るくて、能天気な食いしん坊! いつもニコニコで、私がボケたら、ツッコんでくれる⋯⋯」


 ーー私の親友。 その言葉が、詰まって出てこない。 だって私なんか、貴方の親友には相応しくないから。


 「くれる。 くれる? くれる!」


 櫻井さんは私の最後の発言を、繰り返していた。 


 ーーまるで、その後の発言を期待するように。 でも、しばらく経っても続きを言わないことに、苛立ちを覚えている様だ。

 

 「⋯⋯終わり? ⋯⋯明るくて、食いしん坊。 ニコニコでツッコミを入れる人。 ⋯⋯それが、瑞稀の求める私なんですね? だったら⋯⋯」


 ーーまた、私のことを親友だと認めてくれますか? そう彼女は言った。

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