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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
愛の檻編

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美羽の一人綱引き無双

 競技の用意が整い、私はマイクのスイッチを入れる。 今年の第一種目も、キックラン競走だった。

 

 「第一種目はキックラン競走! ボールを蹴ってコースを一周! 素早い動きと、絶妙なボールテクニックが重要になってきます。 吉澤さんどう思いますか?」

 「あうう。 なぜアタイはここなんですか!」


 ひとみは地団駄を踏みながら、私に向かって吠えている。 たしかに、なんでひとみはこちら側なんだろう? そんなことを考えつつ、本当は心当たりがあるんだけどーー


 「スタート! お! 先頭は、やはり川端選手! 速いですね!」

 「行け、行け、行け! 神子様!」


 ひとみは放送席に乗り出して、大声で声援を送っている。 


 「もう、ひとみ! 私たちは一応司会者だよ? 私情ダダ漏れですわ!」

 「ちぃ。 んだよ瑞稀! オメエも神子様の応援しろよな!」


 ひとみが私を睨みつける。 せっかく私がミウミウのモノマネをしたのに、反応してくれなかった。


 内心拗ねながらも、仕事なので実況を続ける。 

 

 「そのまま、ゴールイン! 一位は川端選手! クラスの優勝に一歩近づいた!」

 「さすがです、神子様!」


 このまま次の種目へいくと思ったが、ことねがファッションショーのモデルの動きでこちらへやってきた。


 そして、呆然とするひとみのマイクをかすめ取り、ことねが会場に向けて声を出す。


 「みなさん。 私の華麗な活躍をご覧いただけたでしょうか? この体育大会に優勝することが、私の目標よ! この目標の制覇が、更に私を次の目標へ到達させてくれる。 ⋯⋯そう、私は今年の生徒会長になります」


 ーー生徒会長。 ことねはそう言った。 私はその言葉に衝撃を受けた。


 なぜだろう? 焦りの気持ちが込みあげてくるのは? そんな気持ちに違和感をもったまま、次の競技が始まる。


 「続いての競技はクラス対抗の綱引きです! 持久力と忍耐力が求められます。 吉澤さんどうです?」

 「⋯⋯どうですって。 クラス対抗なのに、なんでアイツだけなんだ?」

 「⋯⋯たしかに、美羽だけだね?」


 対戦相手がゾロゾロといるのに対して、ウチのクラスの人員は美羽だけ? 


 この勝負は捨てたのかな? そう思っていたら、ことねが後ろからそーっとやってきた。


 「ふふ。 まあ、見てなさいよ⋯⋯」

 「はひ! かしこまりましたです!」

 「あら、ひとみ? 私に敬語はいらないって言ったわよね? ⋯⋯いけない子ね、後で調教しないと⋯⋯」

 「ことねさ⋯⋯ウグウグ」


 ことねがひとみの頬を指で掴みながら怪しく微笑む。


 やめてあげて、ひとみの精神が崩壊するよ!

 

 そう思っている内に、綱引きが始まったのだが、なにが起きたのか理解できなかった。


 「えっと。 ありのままの事実を言いますと、選手たちが吹き飛びました。 よって勝負は櫻井選手の勝利です!」


 私は呆気に取られてしまった。 


 ーーだから気づかなかった。 美羽がそんな私のことを見ていたことに。


 「⋯⋯瑞稀。 私の活躍、見てくださいましたわよね? 瑞稀、私だけの瑞稀」

 

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