理想とは幻想
なんだかんだで放課後、私は家に帰る準備をしていた。 ことねの話によると、今日から、体育大会の練習をするらしい。
そんな中私は、悠々自適に帰るのだった。 私が校舎を車椅子で動いていると、舞香に遭遇した。
ーーそう言えば、マイマイが入学してくるんだったな。 私は頭の中にある、やりたいことリストを更新する。
77、先輩になる
でも舞香は、私のこと、覚えてないよね。 そのことに私が悲しい思いをしていると、彼女がニコニコしながら、寄ってきた!
「⋯⋯」
「えっと? 舞香?」
舞香は、私に視線を合わせると、頭を下げたまま動かない。 まるで、なにかを待っているみたいだった。
まさか! 思いついた私は、舞香の頭を撫でる。 すると、舞香は嬉しそうに声をあげるのだった。
「えへへ。 みずちゃんに撫でられちゃった⋯⋯」
「姉妹揃って、撫でられるのが好きなんだね⋯⋯」
私がそういうと、舞香は複雑な表情をする。
「お姉ちゃんと同じクラスなんだ?」
「そうだけど?」
「羨ましいな〜 私も、みずちゃんと同じクラスがよかったな〜」
私は、舞香の反応を見て、違和感を覚える。 今の私は、転校生という設定のはず、なのになんで知っているのかな?
「舞香? 私たちって以前会ってた?」
「⋯⋯え? みずちゃん、忘れちゃったの?」
私が尋ねると、舞香は悲しそうな表情をする。
「名前も舞香呼びだよ。 ⋯⋯せっかく私、みずちゃんと一緒の学校に通えるようになったのに⋯⋯」
「えっと、え?」
私は混乱していた。 どうすればいいのか、私が悩んでいた時、向こうからもう一人の知り合いがやってきた。 黒田凛である。
しかし、彼女は私たちを無表情ですり抜けていこうとする。 いつもの私なら、怖気づいて話しかけないが、今は藁にも縋る思いだ!
私は凛の体を強く抱きしめた。 凛が痙攣しているのが私に伝わってきた。
「は、はう! うう⋯⋯快感⋯⋯」
「え? 凛ちゃん?」
「みずちゃん⋯⋯なんのつもりかな?」
「ひぃ!」
舞香がすごい剣幕で凄んできたので、私は顔面蒼白になったのである。
「じゃあね〜 みずちゃん、りんちゃん!」
「さようなら、舞香、瑞稀⋯⋯」
校門を出た私たちは解散した。 あの後、なんだかんだで仲良くなれてよかった!
私が安心しているとーー
「お姉ちゃん! 迎えに来たぞ!」
「ありがとう⋯⋯」
私の弟が迎えにきてくれた。 弟は、私にとってとても大事な存在だーー
「お姉ちゃんは危なっかしいからな〜 俺がいないと⋯⋯」
「ふふ。 いつもありがとうね?」
「よせよせ。 ほら! 帰るぞ〜」
弟はいつもずっと、私を見守ってくれる。 いつまでも、同じ姿でーー
◇◇◇
「ただいま!」
舞香は家に帰ってきました。 元気な声で玄関のドアを開けます。
ーーすると。
「おかえり、舞香」
「おかえり、舞香」
「ただいま! お父さん、お母さん⋯⋯」
「今日は舞香の大好きなハンバーグよ!」
「やった! お母さん、大好き!」
「じゃあ、お父さんのことは、どうだい?」
「もちろん! 大好きに決まってるよ」
舞香は中にいる二人に、そう呼びかけるのでした。
ーーそう、この世界は幻想。
しかし時には、幻だとわかっていても、否定できない幻想もあるのです。




