マイナスから? 始まる新学期生活
美羽と話した後、ご飯の時間になった。 目の前には大量のご飯が並んでいた。
そのことに、私は安心する。 少しだけ、私の知っている彼女がそばにいると思えたのだ。
そんな私の様子に気づいたのか、美羽は笑顔を私に見せた。
「瑞稀がやっと笑顔になりました。 安心しました」
「え? ⋯⋯あ、うん。 そうだね」
どこか違和感のある美羽に、私は反応が弱くなってしまう。
「む⋯⋯瑞稀。 もしかして、私の服装に不満があるのですね」
「服装? ⋯⋯あれ?」
そう言われて、初めて美羽の服装を確認する私。 動揺しすぎて、気にしてなかったよ。
そんな美羽の服装は学生服だった。
「⋯⋯どうして、制服なの?」
今は夜だ。 それに観察すると、お風呂に入った形跡がある。 さっきまで、なにを着ていたのか覚えていないけど、風呂上がりに制服姿は違和感がある。
「違和感があるのですわね。 理由は、後で私の寝巻き姿を披露するためですわ!」
「な、なんだって!」
私は記憶を遡る。 ミウミウは寝る時は、いつも長袖の寝巻き姿だった。
美羽も一緒なのかな? でも、わざわざ隠すということはーー 私の中で妄想が膨らんでしまう。
「お姉ちゃん! そんなことより食べようぜ」
「あ、うん。 そうだね」
「⋯⋯⋯」
弟の声で正気に戻った私は、ご飯を食べるのだった。
「⋯⋯⋯。 今、誰に反応してたの? 誰もいない方向に向けて会話なんて、変な瑞稀⋯⋯」
私の部屋。 美羽が自慢気にローブを羽織っている。
それをアピールするように、外す美羽。
「じゃあんです」
「え? 普通に私服じゃん?」
美羽が着ていたのはワンピースだった。 わざわざ焦らすことではない。
そんな私の反応が気に入らないのか、美羽はいじけてしまった。
私はそんな美羽をあやしているうちに、一日が終わったのだった。
新学期の教室、新しい舞台だ。
76、二年生になる
こんな未知の状況でも、目標が達成出来たことを喜んでいた。
しかし、私がクラスに向かおうとすると、美羽に止められる。 なんでも先に、職員室へ行って欲しいらしい。
美羽の指示に従って職員室へ行くと、担任の先生がいた。
ーーちなみに、この理想学園は三年間、クラス替えや先生変更はなしだからね?
そんな、誰に説明しているのかわからないことを言って、現実逃避をしたくなるほどの事態が、私に迫っていた。
私はなぜか、教壇にいる。 最初は、復帰の挨拶だと思っていたのだがーー
先生が黒板に私の名前を書く。
「みんな! 今日からこのクラスに転校してきた、倉石瑞稀だ!」
「え? ⋯⋯えっと。 初めまして?」
「倉石は見ての通り車椅子だから、みんなで彼女を補佐してくれると助かる⋯⋯席は櫻井の横だな⋯⋯」
この学校の生徒会長だった私が、なぜか転校生になっていた?
まさかの事態に、私は気が遠くなるのだった。
「⋯⋯違う」
だから、気づかなかった。 彩乃が戸惑っていることにーー




