束縛するほどの想いーー櫻井美羽視点
私は二人を見下ろしましたわ。 二人ともポカポカなのか、顔色がとてもよくてよ。
「ちょっと、美羽。 なにか用かしら? 私たちは家族団欒の時間を過ごしていたんだけど⋯⋯」
「そうよ! そうよ! 美羽ちゃんはお母様と団欒していればいいのに!」
二人が私に抗議してきますわ。 でも、私は秘書として引く訳にはいきませんわよ。
「団欒? 義明さんの様子は、明らかに衰弱していましたわよ。 あんな状況が団欒なんて、納得できませんわ!」
私がそう言うと、二人は顔を見合わせて、作戦会議を始めましたの。 しばらく話した後、ことねが諭すような表情をしましたわ。
「美羽。 貴方にはわからないでしょうけど⋯⋯世の中にはね、色々な愛の形があるの。 私たちがしていたのもその一つよ」
「⋯⋯その行為に名前がありますわよね?」
「⋯⋯監禁プレイ?」
「はい、アウトですわ!」
ことねが首を傾げる。 まったく、理解していない様子ですわ。
「お母様? 男性に愛を伝える効果的な方法って、監禁よね?」
「⋯⋯⋯え?」
ことね! なにを言ってますの! そんなことある訳ーー
「当然よ! 私も義明さんと、よくやったわ⋯⋯」
「⋯⋯だってさ美羽。 残念だったわね」
ことねがしたり顔で言ってきましたわ! 二対一。 私の負けですの?
「⋯⋯いや、監禁とか普通に犯罪だろ⋯⋯」
「⋯⋯あれ?」
今、どこかで誰か呟きましてよ!
私は心当たりがある場所ーーコタツの中を開けて、中を覗きましてよ!
「⋯⋯ニャー」
「⋯⋯!」
私はそっとコタツを閉めましたの。 家ネコの『ひとみん』でしたわ。
完全に家ネコ扱いなんですわね。
ガチャッーー
その時、玄関からドアを開ける音が! やってきたのは、湊とその両親ですわ!
二人はさっきまでの余裕の表情を崩して、狼狽し始めましたの。
「美羽! 待たせたな。 ⋯⋯ことね。 話は聞いたぞ。 そんな態度ばっかりとっていると、義明さんに嫌われるぞ」
湊がことねに諭すように、助言してますわ。 それに対して、ことねは悲しい顔をつくって、体を震わせていますわね。
「だって。 お父さんとお母さんに、私の制服姿を見てもらいたかったのよ?」
「そうか⋯⋯ 喜んでもらえたか?」
「うん。 ⋯⋯それでちょっと、舞い上がってしまったわ⋯⋯」
ーーあの? ちょっと舞い上がったら、監禁するんですの?
私は将来の旦那様を想像してみますが、全然想像できませんわ!
でも代わりに、瑞稀を想像してみますの。 瑞稀ってば、また他の女性に目移りして、私のことをもっと見て欲しいですわ!
あれ? 私も、ことねの気持ちが、なんとなくわかる気がしますわーー
一方雫さんは、湊の両親にこってりと絞られていましたのよ。
ふう。 これにて、一件落着ですわね! 安心したら、お腹が空いてきましたの。
ところで瑞稀はどうしましたの? 昨日から、会ってないですわね。
また、どこかで女性とラブラブしているのかしら? 瑞稀には、私だけを見ていて欲しいのにーー
べ、別に監禁したいとは思ってないですわよ? ただ、束縛したいだけですからね?
「⋯⋯いや、お前も大概だとアタイは思うぜ?」
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯ニャー」




