これが私の和解方法ですわーー櫻井美羽視点
私はパパとママを、なんとか地上へ連れ出しましたわ。
ウジウジ考えるのはきっと、暗い所にいるせいですわね。 そう思って庭のテラスに腰掛けたの。 でも、パパの様子がさっきから変ですわよ?
「パパ! どうしたんですの? 背筋が異様に曲がっていらしてよ!」
「⋯⋯いや。 俺は夢を見ているんだ。 ⋯⋯あの扉は鉄だったんだぞ。 女子高生が一人で蹴り破れるはずがないんだ⋯⋯」
「まあ! パパは現実逃避をしていますのね! 顔をお上げくださいませ。 現実は一つですわ⋯⋯」
私がそう言うと、跪くパパ。 テラスの端に蹲り始めましたの。 そんなパパの横に寄り添って座るママ。
ママはパパと、イチャイチャしたいだけですわねーー
そんな様子に、私はついつい笑ってしまいますわ。 それに釣られて、ママも一緒に笑っていましたのーー
それから、しみじみと昔を思い出していましたの。
「パパはね、昔からこうなのよ。 ⋯⋯あれはそう。 私たちが結婚するために親に説得した時、パパの両親から反対されてね」
「そうだったんですの⋯⋯」
まあ! パパとママの馴れ初めは知ってますわよ、幼馴染でしたわね?
「パパったら、説得出来ないから拗ねて、あそこに閉じこもってしまったの」
「あそこ⋯⋯あの地下倉庫のことですわね」
「それで、ずっと引きこもり。 パパの親が私たちの結婚を認めてくれるまで⋯⋯ずっとね」
パパにとって、あそこは思い出の場所でしたのね。 そう思っていると、パパが引き攣った顔で、私を見つめますの。
「⋯⋯なあ、美羽がその気になれば、俺の体は⋯⋯」
パパが恐る恐る、聞いてきましたの。 私はパパをイタズラな笑みで見つめましたわ。
「そうですわね⋯⋯あの世にいけますわよ?」
「そうだったのか⋯⋯つまり、それをしないということは、パパは許されているのか?」
パパが縋るように、私に尋ねてきましたの。 でも、それは早計ですわよ?
「⋯⋯でも、どうしようかしら? 今のパパなら潰してもいいのでは?」
「そ、そんな⋯⋯」
パパは項垂れてしまいましたの。 まったく、仕方ないパパですわね。
「蹴られたくなかったら、ウジウジするのをやめるのですわ。 そして、今回の件で落ち込むことも、おやめになって」
「⋯⋯だが、俺は⋯⋯」
「蹴り心地のいいボールですわね? パパ?」
「はい! しゃんとします!」
そう言うと、直立不動になるパパ。 その様子に、私は思わず吹き出してしまいましたわよ。 それは、ママも同じですの。
「ふふ。 さあ、仲直りのパーティーをしましょう。 私が作るから、待っていてね〜」
「あ、ママ! 私は調理を覚えましたのよ! 私も一緒に作りますわ!」
「⋯⋯だったら俺も」
『パパはお座り!』
「はい! かしこまりました!」
私はママと仲良く、クッキングタイムを楽しみましたの。 そんな様子をパパが見て微笑んでいましたわね。
一家団欒、これにてめでたしですわ!
ーーと言いたい所ですけど。 ここでのんびりしては、いられませんわ。
私はことねの右腕として、ことねの管理をするのですわ。
頑張りますわよ! エイエイオー!




