サプライズは修羅場になる時もあるーー川端ことね視点
私とお母さんが玄関で空を見上げていると、玄関のドアが開いて、湊が出て来た。
「⋯⋯二人とも? どうしたんだ? 寒いから家で暖まりましょう。 美羽が『ご馳走様ですわ』とか言うから、早くしないとご飯がなくなりますよ」
美羽は相変わらずね。 私が呆れていると、お母さんが慌てて靴を脱ぎ始めた。
「え! 櫻井さん? 私、今日を楽しみにしていたのよ? 負けられないわ!」
そして靴を揃えて、早歩きでリビングに向かって行く。 リビングで美羽とお母さんの声がする。
「ご馳走様でした! あ、雫さん。 おかわりですわ!」
「おかわりじゃないわよ! 貴方!」
私と湊は、お互いに顔を見合わせて笑う。
「にぎやかだね、湊」
「そうだなぁ」
私たちもリビングへ向かう。 中に入って湊はお母さんへ微笑む。
「⋯⋯はい、奥様落ち着いて。 ご飯はまだまだありますから」
「嬉しいですわ! ドンドン食べますわよ!」
「櫻井さん? 貴方、少しは加減するべきですよ、貴方のお父さんも泣いてます」
お母さんを落ち着かせるための発言が、逆効果になってしまった。
でも美羽は微笑みながらカバンの中から、通帳を取り出した。
「雫さん。 大丈夫ですわ。 私、大食い大会で優勝しましたので賞金が⋯⋯」
「⋯⋯ゴホン。 お嬢様、いつまでも我が家にいてください! ええ!」
お母さんの気変わりの早さに、私はため息を吐くのだった。
一方、調子に乗った美羽はニコニコしている。
「では、おかわりお願いします」
「⋯⋯はい。 かしこまりました⋯⋯」
ええ? 誰かいるの? 私が台所を凝視すると、そこにはーー
「えっと⋯⋯久しぶりだな、ことね⋯⋯」
「⋯⋯駄目じゃない、湊。 部外者を家に入れたら」
「⋯⋯⋯そんな。 私だよことね、父親の義明だよ?」
「お父さんは海外にいるわ。 ここにはいないはずよ」
私はお父さんを名乗る偽物を、指差して睨みつける。 私の声に気づいたお母さんが、様子を見に来た。 すると一緒驚いた顔をした後に悪い顔をした。
「ちょっと、湊君。 部外者を勝手に入れちゃ駄目じゃない。 早く追い出さなきゃ!」
「え? 雫! ちょっと⋯⋯あまりくっつくな⋯⋯当たっているから」
「まあ! 部外者さんじゃなくて、変態さんなんですね? これは教育しないと⋯⋯ふふふ」
お母さんの表情がいつの間にか、ニコニコになっている。 部外者ーーお父さんは、引き攣っていた。
私はお父さんに久しぶり会えたのだった。 私は堪えきれずに抱きついた。 お母さんが片側を占領しているので、反対側にアタックする。
そして、私たち三人は台所を出て、リビングへ。 呆然とする、美羽がこちらを見ていた。
お父さんは、湊に向けてSOSを送った。
しかし、湊はかぶりを振って拒否する。
「ご武運をお祈りいたします⋯⋯」
「裏切り者!」
「さあ、ゆっくりしましょうね〜」
「ゆっくりしようね〜」
まだまだ、今日は明るいから、ゆっくり楽しみましょうーー




