サプライズは対象を選ぼう ーー櫻井美羽視点
私は義明さんと川端家に帰っていますの。 道中の景色を彼は懐かしいそうに見てますわね。 私はウキウキしながら、義明さんに話し掛けましたの。
「義明さん! ことねの昔話を知りたいですわ! 前に聴いた時は思い出はないって言ってましたけど⋯⋯嘘ですわよね?」
「⋯⋯そう思ったのはなぜだ? ことねから聴いたのか?」
「その通りですわ。 ⋯⋯まあ、聴いたのは私ではなくて、瑞稀ですが⋯⋯」
「なるほどね⋯⋯」
まあ! ことねにそっくりの発言ですわね! ことねもジュースまみれになった時にそう言ってましたわよ。 さすが家族ですわね。 私がそう関心していると、義明さんが口を開いたのですわ。
「ふむ。 この道をことねとよく歩いた。 ただ二人で歩く⋯⋯それだけだったが、娘はいつも喜んでいた。 私はそれが不思議だったな⋯⋯」
「ふふ、ことねは義明さんと一緒にいることが、嬉しかったんですの」
「それを、香織にも言われた。 ⋯⋯やはり、母娘だな」
あら、さすがママですわ。 そんなことを話している内に、家に帰って来ましたわね。 家に入ると湊がいましたわね。 私に気付くと、イタズラがバレた子みたいなリアクションをしました。 ママが帰って来ることを知っていましたのね!
「おかえりなさいませ。 義明さん⋯⋯」
「ただいま湊。 いつもありがとう」
「いえいえ。 こちらこそ⋯⋯」
「湊! 知っていましたわね!」
「サプライズがいいと思ってね? 驚いたでしょ?」
「お陰で最悪ですわよ⋯⋯」
私は湊に屋敷の地下で起こった事情を説明すると、今度は申し訳ない表情をしましたわね。 そうですわ、反省してくださいませーー
「最悪のケースじゃないか⋯⋯なんだか、和馬さんには申し訳ないことをしたな⋯⋯」
まあ、パパは反省しすぎて、心ここにあらずでしたけど。 気を取り直して、サプライズパーティの準備をしますわよ! あれ? そう言えばことねはどこへ行ったのかしら?
「湊! ことねはどこへ行ったのです? せっかく、義明さんが帰って来ましたのに⋯⋯」
「ことねは、雫さんを迎えに行ったよ」
「⋯⋯え、雫さんも帰って来たんですの!」
「なるほどね⋯⋯」
これは、嬉しいことですわね! みんな、なぜ私には言わないのかしら?
私が湊を睨んでいると、湊はニコニコした顔で、こう言った。
「だって美羽が驚く顔が、楽しみだから⋯⋯」
「湊? それは酷いですわ!」
「雫も一緒なのか⋯⋯ふむ」
ことね! 湊はとんでもない、サディスティックですわ! ーーあ。 そう言えばことねもそうでしたの! お似合いですわねーー
私がそう考え直していると、義明さんが気まずい表情をしていましたの、どうしましたのかしら? 心配になった私は、義明さんに尋ねましたの。
「義明さん? どうしましたの?」
「さすがに、雫に会うのは緊張するな⋯⋯」
「まあ! 雫さんに会うのが怖いのかしら?」
これは、私の腕がなりますわね! 私は、食べるだけではありませんわよ! 作るのも得意になりましたのよ! 私は張り切って台所へ向かいましたのーー
「雫が来るのか⋯⋯」
「⋯⋯いつぶりですか? 最後に雫さんにあったのは?」
「覚えてないな。 どうしようかな⋯⋯逃げてもいいかい?」
「駄目ですよ、義明さん。 ⋯⋯ミスったな。 サプライズにすればよかった」




