サプライズは突然にーー櫻井美羽視点
休日の朝、私は実家に戻って来ましたの。 理由は簡単、引きこもりを更生させるためですわ!
私が引きこもりがいる地下倉庫へ行くと、髭がボウボウの落ちぶれた様子のパパがいましたの。 パパは私を見るなり、悲壮感溢れる表情を私に見せるのでした。
私は、そんなパパに呆れた口調で語りかけましたわーー
「パパ、不潔ですわよ! さっさと、出て来るのですわ!」
「いいんだ⋯⋯私はここで朽ち果てることにするよ⋯⋯」
「よくありませんわよ! なんでそうなりますの!」
「こんな、娘不孝者なんて生きてたら駄目なんだ⋯⋯」
パパはそう言うと、私から目を逸らして、体育座りを始めましたの。 ちょっと! しっかりしてくださいまし! こんな状況をママが見たら、愛想尽かされますわよ!
その時、スマホアプリから通信が、出て見るとママでしたわ。 ママは明るい声で話し始めたので、私はスピーカーモードに変えて会話を始めますの。
「美羽。 元気かしら? 今日はとてもいいニュースがあってね!」
「ママ! それどころじゃないのですわ!」
「あら? どうしたのかしら。 ご飯中だった?」
「違いますわよ、パパが引きこもっているんですの!」
「まあ! 懐かしいわね⋯⋯ 原因はなにかしら?」
懐かしいという発言に、疑問を浮かべたい気持ちはありますが、とにかく、私は起こった出来事をママに伝えましたの。 ーーそう言えば、ママには学校を転校したこと以外、なにも言ってなかったですわね。
「⋯⋯と言うことですの」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「ママ? どうしたのかしら⋯⋯」
電話の奥では走行音が響き渡り、途中から義明さんの声がしましたわーー そして、代わりに出て来たのは、義明さんですわね。
「お電話代わりました。 義明です」
「⋯⋯? ママはどうしたんですの? さっきの音は一体⋯⋯」
「ああ、すぐにわかるさ。 すぐにね⋯⋯」
それと同時に、部屋に我が家のメイドさんが入って来ましたの。 でも、かなり慌てていますわねーー 入って来るなり叫びましたの。
「大変です! 香織様が!」
「ママになにかあったんですの!」
詳しく聞こうとしたその時、ドアが勢いよく開けられましたの!
そして、開けた人物と目があった途端。 その人物ーーママは、私を思いっきり抱きしめましたわ。 ママは海外から、戻って来たのですわね!
そして続けて叫び始めましたの。
「美羽! そんなことがあったなんて! ママは知らなかったわ。 どうして、隠していたの?」
「ごめんなさいママ。 別にそんなつもりはなかったのですわ⋯⋯」
本当は、ママには言いたくなかったのですわ、心配するからーー
そして、ママはパパを一瞥すると、私を優しく見つめましたの。 そして、こう言うのですわ。
「⋯⋯ちょっと、パパとお話しするからね。 終わったら連絡するから、その間にパーティの準備をして欲しいの。 川端一家団欒のパーティをね⋯⋯私の代わりにお願い出来るかしら?」
ママの見えない圧力に、私は頷くことしか出来ませんでしたの。
パパってば、せっかくママが帰って来ましたのに、ずっと虚空を見つめていましてよ! まさか、ママの存在を、幻覚だと思っているのかしら?
こうして私は館を出ると、そこには苦笑いの義明さんがいましたわ。 彼は少しだけ疲れた表情をしていましたけど、なにがあったんですの? でも、私がいることに気づくと優しく、微笑んでくれましてよ。
「香織さんから聴いてくれたかな? ⋯⋯私のサプライズに付き合ってくれるかな?」
「ええ! もちろんですわ! 行きましょう⋯⋯」
サプライズパーティ! 楽しみですわね!
ーーでも、この選択が悪手だったと知るのは、少し後のことでしてよ。




