理想学園の三学期
72、無事に三学期を迎える
73、さつまいもパーティ開催
「はい、みなさん! 手元にさつまいもは届きましたでしょうか? それではいただきます⋯⋯」
『いただきます!』
三学期の始業式を取りやめ、代わりに私が立案したさつまいもパーティ。 焚き火でさつまいもを焼く、そして食べる。 と言う簡単なことだが、仲良くみんなで同じ物を食べることによりスキンシップが取れるという試みだ。
私がさつまいもを配布していると、列の最後尾にミウミウがいた。
ミウミウは既にもらったさつまいもを美味しそうに食べながら、次のさつまいもをもらうためにニコニコしながら順番を待っていたーー
「モグモグ。 瑞稀、おかわりですわ!」
「残念。 焼き芋はお一人、一本だけだよ」
「そんな! 瑞稀、意地悪ですわ!」
「駄目。 後で自分で作って食べてね?」
「むむむ⋯⋯」
プンプン怒るミウミウを見ながら、私もさつまいもを食べる。
ホクホクした芋は、噛むと甘味を感じる。 皮ごと食べるか、剥いて食べるかどうしようかなぁ?
高坂湊から聞いた話によるとーー 結局あの後、あの三人組は解放された。 ペイントジュースまみれの体のままでね。 しかも、汚れた学生服をクリーニングさせてもらえなかったようだ。 今頃、新年デビューしているらしいよ? おめでとう!
そんなことを考えながら見ていると、ことねとひとみに、生徒たちの視線が集まっていることに気づいたーー
「⋯⋯ホラ。 慌てん坊なんだから⋯⋯ ゆっくり食べてね。 ふふ」
「えっと。 見られているし、アタイはその⋯⋯」
「え? ひとみは、私といたくないの?」
「そ、そんなことないです⋯⋯アタイは神子様命ですので⋯⋯」
「どうしたの? ⋯⋯語尾が小さいわ。 もっと大きな声で言って」
「ことねと一緒にいるのは幸せニャン!」
「まあ、かわいい~ 黒猫ちゃん~」
「ニャ~⋯⋯」
ひとみは完全に、ことねの愛玩動物になったんだね。 ひとみってやんちゃだけど、ことねの言うことは逆らえない。 それにことねは、ひとみに対して保護欲を刺激されるらしい。 ひとみを猫だと思っているのだろう。
ーーでもそれだけじゃ、本当の友情とは言えないよ?
次に目立っているのは、田中書記、柳田庶務、桐原彩乃、高坂湊のチーム祠浄霊班ーー又の名を、中二病軍団だ。
田中書記が燃え盛る火の前で、三人に向けて詠唱を促していたーー
「ファイヤーストーム! ふむ、見事な焼き加減よ⋯⋯」
「⋯⋯燃え盛る火が、明日を照らすわ⋯⋯」
「失われた時が動き出す。 新たな目標を果たせ」
「空が赤く染まるまで⋯⋯燃え盛るがいい!」
『これぞ! 冬香の宝石よ!』
えっと? あの四人は新しい扉を開いたのかな? 焼き芋のことを、ポエムしているのかなぁ?
その他にも、まだまだ目立つ軍団がいる。 榊原会計に新田善子、そして明里の三人と、それを横で見守る立川竜也だった。
「冬は寒くても~ 心は暖かい~」
「いつも心に情熱を~」
「咲いて、綺麗に愛の花~」
「いよ! スリーガールズ! そして善子は俺の嫁!」
「キャ! 竜也⋯⋯!」
いつの間にか嫁にクラスチェンジしてる! そんな二人をのこりの二人が、ツンとした表情で見ていた。 嫉妬かな?
そうやってあちこちを見渡していると、ミウミウが話しかけて来たーー
「瑞稀! ボーとして、どうしましたの?」
「ああ、いただきま⋯⋯あれ?」
さつまいもがないーー まさか!
「ぷクスクス。 ご馳走さまですわ瑞稀!」
「コラ、ミウミウ!」
この! さつまいも強盗め! 私はミウミウを追いかけ周る。 火の周り、生徒たちの間をーー
『瑞稀⋯⋯このままではまずいですね。 私がなんとかします⋯⋯』




