戦闘は物語のお約束 ーー田中幸子視点
さて、その山の登山口にやって来たのですがーー
「⋯⋯なんです? 入り口に黒装束が立っているんですが⋯⋯」
『⋯⋯おそらく、見張りでしょう』
「いかにも、怪しい雰囲気ですね。 ⋯⋯テンションが上がってきましたよ」
しかし、このままでは突破できない。 私は隙を伺うために、様子を見ていたのだがーー
「ええい! 一向に退かないじゃん。 ⋯⋯空も暗くなってきたし」
『大変です、サッチー! 邪の気配が強まっています』
しょうがない、ここは強行突破で行くしかない! 私は黒装束の前に出た。
「⋯⋯お嬢さん。 ここは入っちゃ駄目だぞ」
「ええ? どうしてですか~」
「⋯⋯この先は危険なんだ。 それに入っても、ボロボロな祠しかないぞ。 さあ、帰りなさい!」
やっぱり駄目か。 しょうがないなーー
「クク⋯⋯。 ここが、エターナルパーフェクト様が祀られている祠か⋯⋯。 とても、邪悪な雰囲気を感じるぞ! ⋯⋯これまでの計画はすべて、我の計算通り!
そう! 生徒会室にあの紙を置いたのは我だ! クク、間もなく、この世界に我らの理想の神、エターナルパーフェクト様が復活なされるぞ! ⋯⋯ああ、右手と眼帯が疼く! とんでもない力を感じるぞ! 暫し待たれよ! 今宵、この世界は終焉を迎えるだろう! この私、ワルザベス様の力によってな! ワハハ⋯⋯」
私は高笑いしながら、すり抜けようとする。
「だから、通行禁止なんだって」
「え? 私の中二病発言が効かないだと⋯⋯」
私が落ち込んでいるとーー
「⋯⋯お前、何をしているんだ?」
私が振り向くと、そこには健太と彩乃。 そして、高坂湊がいた。
二人が一緒なのは、わかるけど、高坂まで一緒でさらに、川端ことねがいないとは、不思議な組み合わせだな?
ああ、それよりも解答しないと。
「え? だって見るからに怪しい気配がするから⋯⋯面白そうだなぁって思って」
「口走っていた、発言は本当か? あの文献を用意したのは、お前なのか?」
「まあ、そうだけど⋯⋯家の倉庫に置いてあったから持参して、上手いタイミングで生徒会長に発見させた」
本当は、私が持って帰るのを忘れて、瑞稀に見られただけなんだけどーー
「ハァ。 それで、一応聞くけど⋯⋯お前は黒幕か? ⋯⋯何故、困っているんだ?」
「真面目に答えるのかボケるのか⋯⋯判断が難しいかな⋯⋯」
「よし、お前たち! さっさと行くぞ!」
「えっ、待ってよ! 置いてかないでよ! これから何するの? 私も行く!」
「田中、お前がいたら、ろくなことにならん。 ついてくるな!」
「嫌だ! 行くよ! 面白そうだし。 ⋯⋯あ、違う。 そう、我が黒幕なのだ! 故に、最後まで見届ける必要がある」
「黒幕だってよ。 じゃあ、捕まえるか」
「ちょっと、違います! ややこしいこと言って、すみませんでした!」
作戦成功! 私は突破できましたよ。 小声で、エタナと会話をする。
「この三人は、なにをするつもりでしょうか?」
『⋯⋯おそらく、理由は違いますが、目的は同じです』
「ふ~ん。 まあ、戦闘には観客がいた方がいいですからね⋯⋯」
『えっと? 戦いがあるんですか?』
エタナーー 君には失望しました。 せっかく光の玉という、ファンタジーな存在なのに、その感覚なんて、ガッカリです。
「見てください⋯⋯あの三人を。 いかにも、って感じで緊迫しているでしょう?」
『はあ?』
私が三人を指差すと、三人ともぶつぶつと喋っている。
「⋯⋯いよいよか。 俺の陰陽術が悪霊を滅する」
「ことね! ⋯⋯俺が、おまえを守る。 だから、見守っていてくれ」
「⋯⋯空が鳴いているわ。 そして地は悲鳴をあげている。 ついに、時が来たのね。 ⋯⋯私の眠れる力が共鳴するわ」
ふふふ。 素晴らしいですね。 みんなやっぱり、こういう展開が好きなんですね。 私は安心しましたよーー




