神子の黙認犯罪
ミウミウは私を叩き起こした後、ことねに詰め寄った。
「ことね! どういうことですの? あれは、犯罪でしてよ!」
「⋯⋯⋯⋯」
「今すぐに、あの三人を解放するのよ!」
美羽がことねに向かって、大声で怒鳴り声をあげる。 理由を聴きたい私を尻目に、相当怒っているみたい。 ーーそこへ、コタツの中からひとみが出てきて、二人の間に割って入る。
「⋯⋯ずいぶんと乱暴な女だな。 ことねの意向に意見を述べるなんてな!」
「ひとみん! そこを退くのだわ! このままでは、ことねが犯罪者に⋯⋯」
「ふん。 美羽、私は捕まらないわよ」
「⋯⋯へ?」
意表を突いた発言に、固まるミウミウ。 私はミウミウに事情を説明してもらおうとする。
「⋯⋯ねえ? なにがあったの? ゆっくりでいいから話して?」
「瑞稀⋯⋯ 私を虐めてた、三人組のことは覚えていますわね?」
「ええ? ⋯⋯うん、覚えているよ⋯⋯」
さっきまで、話していたからね。 コタツの中でひとみの黒装束を脱がしていた所だったんだ。
ひとみはゼイゼイと息を吐いていた。
「ひとみ、汗だくね、不潔だわ⋯⋯こっちにきなさい」
「えっ! ことね。 アタイをどこへ連れていくつもりですか⋯⋯」
「おいで。 お風呂に入るわよ」
「アタイは別に⋯⋯あ、ことね⋯⋯」
「よいしょ。 軽いわね⋯⋯」
ことねは、ひとみをまるで子猫のように、風呂場へ連れて行ったーー
「瑞稀! 私の話を聴くのですわ!」
「えっと。 ゴメンゴメン」
「その三人があの後、私たちを暴行する予定でしたの⋯⋯」
「そんな⋯⋯」
私は足元が震えて、ついには尻餅をついてしまった。 ーー恐怖。 私の感情が塗り潰される。 ーーなんで私、あんなことをしたんだろう? 私が勝手に余計なことをしたせいだーー
「しっかりしてくださいまし! 問題はそこではありませんの! 私たちは今は無事ですわ」
「⋯⋯ああ、そうだよね。 ⋯⋯まさか、ことねが!」
「そうですの。 ことねとひとみんが、あの三人を拘束して、私の別荘に軟禁していますの。 ⋯⋯これは、犯罪行為ですわよ! どうしましょう⋯⋯」
自分が襲われた可能性よりも、ことねとひとみのことを、心配しているミウミウ。 でも、美羽が心配する理由がわかった。 同時に、大丈夫である理由もーー
「美羽大丈夫だよ。 ことねは捕まらない⋯⋯」
「瑞稀まで、そんなことを言いますのね。 どうしてか理由を聴かせてくださるかしら?」
ミウミウは帰国子女だから、わかってないんだ。 川端という、パンドラボックスをーー
「私は捕まらないの⋯⋯神子である限りはね」
風呂場から、ことねが出てきた。 なぜか、制服姿で。
「ことね? これから、学校に行くの?」
「そんな場合ではありませんわよ! 私の別荘に来てくださいませ!」
「うるさいわね! 私の趣味よ! ⋯⋯なぜか、この格好が落ち着くの。 あの子がいなくなってからは特にね⋯⋯え? なによ、気まずい雰囲気出して! 行くんでしょ別荘へ」
そう言うとことねは、プンプンと玄関へ向かっていく。 私は、ミウミウと顔を見合わせる。
「神子であることねは条件付きで、黙認されているんだよ。 後見人は、高坂湊と柳田秀五郎さんだよ。 二人がことねを常に見張っているんだ。 ⋯⋯今回のことは、二人も承認済みと言うことらしいね⋯⋯条件は、親にも事実を伝えることかな? 待ってミウミウ! あくまでも、私の推測だから⋯⋯」
「なんですのそれ⋯⋯」
わかるよミウミウ。 私も生徒会長になった時に、校長先生から聴かされて、同じ表情になったからーー




