神子による処罰 ーー櫻井美羽視点
白銀の雪景色が、目の前に広がっていますわ。 私は首元のマフラーを口元まで、伸ばしたい気持ちを抑えますの。
この時期に別荘に行くなんて、新鮮な気持ちですわね。 でも、お父様? 用事とはなんでしょうか? 私は、気になる気持ちを抑えて、別荘に到着しましたの。
この時期の別荘は、管理人と使用人が数人だけの、寂しい雰囲気のはずですの。
でも実際は、私の予想と正反対でしたわ。
「⋯⋯? 車がたくさん停まってますわね?」
なんの集まりですの? 満員ですわよ! そう思って様子をのぞいていると、会ったことのある人たちがいました。 転校前の学校の担任だった先生と、校長先生ですわ!
私が驚いていると、向こうも気づいたらしく、私に複雑な表情を見せましたの。
「ご機嫌ようですわ。 この前の壇上での挨拶ぶりですわね。 ⋯⋯どうしましたの? 浮かない表情ですわね?」
「ああ、美羽さん。 この前はありがとうございます」
「いえいえ。 お礼を言うのはこちらですわ。 ⋯⋯あの学校には、辛い思い出しかありませんでしたが、今はもう幸せですもの⋯⋯」
「なんですって?⋯⋯やっぱり。 君は理不尽な目に遭っていたのか⋯⋯美羽さん。 申し訳ございませんでした⋯⋯」
二人が私に向けて、頭を下げましたわ? なぜですの? 私はそんなこと、求めてないですわよ?
すると、応接室から大声が。 私は様子を窺いましたわ。
「櫻井和馬さん。 この度は、娘がご無礼を⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
中には、パパと見知らぬ人たちが六人いましたわ。 その、見知らぬ人たちはパパに頭を下げてましたの。 一方パパは渋い表情をしていますわね。 そして、すごく落ち込んでいますわ。
ああ、私に気づきましたわね。 でも、パパはすごく気まずそうですの。
「⋯⋯美羽、こっちに来てくれ。 困っているんだ⋯⋯」
「パパ? 具合が悪いのかしら?」
「⋯⋯美羽? それではこの子が⋯⋯」
すると、六人の標的がパパから、私に代わりましたの! 突然頭を下げられてどうすればいいのかわかりませんわ!
私たちは一悶着あった後、地下へ向かいましたの。 そこには、あの三人組がいましたわ。
「最悪なんですけど~ スマホいじれないし~」
「なんでこんな目に遭わないといけない訳? あの女、ムカつくわ」
「武器さえあれば、あんな奴らボコボコに出来たのによ」
同行しているみなさんが、申し訳なさそうに私を見ますわ。 こちらは、三人が見えてますけど、向こうからは私たちが見えない仕組みですのね。
この状況を作った、ことねとひとみがいないので、困ってしまいますわね。
「パパ。 どうしますの?」
「どうすると言われてもな⋯⋯ことね様の許可がない限り、コイツらに会話することすら出来ないからな⋯⋯そもそも、私にも責任がある。 美羽を孤独にさせたのは、この私だ。 私も、一緒に入るべきだろうな⋯⋯」
落ち込んでいるパパ。 私が虐められていた事実を知らなかったことに、落ち込んでいるようですわ。
パパと喧嘩した件と、あの三人の件は無関係だと言っても、説得力がありませんわね。
パパはもう駄目ですわ。 仕方ありませんわね!
「みなさん、落ち着いてくださいませ! 私がことねを説得してみせますわ! パパ、私を家まで送ってくださいませ⋯⋯」
ここで三人を解放したら、余計大変なことが起きますわねーー まずは、ことねの説得からですわね。
帰ってみたら、瑞稀の靴とひとみんの靴がありましたわ。 瑞稀の前でこの状況を告げるのは、気まずいですわよ。
「ただいまですわ! ⋯⋯あれ? ことねだけですわ⋯⋯変ですわね? 瑞稀の靴があるのに⋯⋯」
「おかえり、美羽。 瑞稀はここにいるよ」
「どうも! コタツムリです!」
「はぁ! 瑞稀! ひとの家で何をしていらっしゃるの! 理解出来ませんわ!」
「えー。 いいじゃん。 ミウミウも一緒にやろうよ、コタツムリ!」
瑞稀が私を誘うように見つめましたわ。 まったく、人が悩んでいる時にのんきですわね! 私は瑞稀を蹴り飛ばしましたわよ。




