私はどうしてここにいるの?
夕暮れの中、私は一人で黄昏れていた。 サッチーが言うように、私はちゃんと進めているだろうか?
前を歩いているはずなのに、全然進んだ気がしないよーー
そんな時、私はとある言葉を思い出していた。
『貴方の存在は将来非常に不安定なの。 もしかすると貴方も、小説の倉石瑞稀と同じ道を辿るかも⋯⋯』
消えたことねが最後に残した、伝言を思い出す。 もう一人の『私』も、今の私以上に苦悩や心配を抱えているのかな?
そんなことをぼんやり考えていた時、聞き覚えのある人の声がした。
「おや? 君は、美羽と一緒に出かけていたのではなかったかい?」
「義明さん⋯⋯」
「⋯⋯なにかあったようだね」
義明さんが私の横に座る。
「ここの景色いいだろう」
「ええ。 ⋯⋯ここで考えごとをしていました」
「そうだろう、私のお気に入りの場所なんだ。 ⋯⋯ところで、倉石瑞稀さん。 君に質問があるのだが、いいかい?」
「質問ですか? ⋯⋯わかりました」
「君はどうしてここにいるのかな?」
「え?」
義明さんから出た質問に、私は言葉を詰まらせる。
私がここへ来た理由ーー 前提として、ミウミウに誘われて、私はやって来た。
私は彼女の応援がしたい。 後、一度でいいから飛行機に乗って、海外旅行に行きたい! そう思ったからである。
つまりは、自分で決めてここに来たのだ。
「私は自分の意思で、ここに来ました」
「⋯⋯そうか。 なら、己の目的を果たすんだ」
「はい。 ありがとうございます」
「おや? 立ち直るのが早いな⋯⋯とてもいいことだ」
私たちは、沈む夕日を眺める。 夕日は暖かくて眩しいーー
ふと、私は気になったことをこの機会に質問してみたくなった。
「義明さん。 質問よろしいでしょうか?」
「なんだい? 答えられる範囲で頼むよ」
「義明さんはなぜ、海外へ来たのでしょうか?」
「⋯⋯これを言うと無責任だと、思われるだろうね。 私の子供の頃からの夢だったのさ。 あの土地を飛び出して、飛行機に乗ってどこまでも飛んで行きたい。 そう思っていたのさ。 ⋯⋯あいにく、ウチの親が厳しくてね、やっとここ数年になって海外に行ける状況になったんだ」
そう言うと義明さんは、空を見上げて、物思いに更けていた。 私には理解できない、色々なことがあったのだろうーー
続けて、奥さんである雫さんのことについて尋ねる。
「雫さんとは、どのように知り合ったんですか?」
「お見合いさ。 お互いの親同士が勝手に決めたのさ⋯⋯」
「そうだったんですね⋯⋯」
「幻滅したかい? 君が私をどう思っていたのかは知らないが⋯⋯現実はただの薄情者さ」
「薄情者?」
私を真っ直ぐに見て、語る義明さん。 私はそれをやんわり否定した。
「⋯⋯そんなことは、ないと思います。 まあたしかに、ことねは寂しがっていたらしいですが⋯⋯同時に貴方に誇りを持っていますよ。 ことねはよく、自慢するんです。 私のお父さんは凄いんだって」
「⋯⋯ことねが。 そうなのか⋯⋯嬉しいな」
二人してまた、空を見上げる。 ここは空が綺麗だーー




