ことねの父親とご対面
「瑞稀? おトイレ長いですわね? あ、瑞稀! 遅いですわよ⋯⋯って、制服に着替えましたの?」
「うん。 ここは、正装で行くべきだからね」
「私も着替えようかしら?」
「ミウミウは本番の時でいいんじゃない?」
「そうですわね。 瑞稀、ことねのお父様がどんな人か、ご存知ですの?」
71、川端義明さんに会う
川端義明ーーことねの父親である義明さんは、川端家生まれである。 彼のカリスマ性は地方を飛び出し、海外へ向かった。 まさに、世界を動かす存在。 私はこれから、その人物と対面するのだ。
「ミウミウ。 緊張して来たよ⋯⋯所でミウミウって義明さんと一緒に暮らしていた、と言うこと?」
「そうですわ。 お母様は秘書ですので」
「不思議な状況だね。 和馬さんや雫さんは、嫉妬しないのかな?」
「存じておりませんの。 ⋯⋯別に浮気している訳ではないのですわ、それが仕事ですのよ。 川端家を支える⋯⋯私たちは、そのために存在しておりますので⋯⋯」
川端家を支える存在、高坂家と櫻井家。 その始まりは、道場の師匠と弟子の関係から始まったらしい。
「到着しましたわ。 ここがお家ですわ!」
「あれ? こじんまりしてる⋯⋯」
うん、普通の一軒家だね。 豪邸をイメージしてたのに。
「美羽! 久しぶりだわ!」
「ママ!」
この方が、櫻井香織さんか。 あいにく、高坂家と櫻井家の女性。 そして、黒田陽介生徒会長以外の黒田家は、マークしてないんだよね。 ミスったわ。
「⋯⋯えっと。 こちらの方が、倉石瑞稀さん?」
「はい! 始めまして倉石瑞稀と申します」
私は、香織さんに向けてお辞儀をする。 我ながら完璧だ。
「まあ! 瑞稀の十八番の猫被りですわ」
「これが、噂の⋯⋯」
私は、ミウミウを睨みたい衝動を堪える。 なにを、風聴したの?
「やあ。 美羽ちゃん久しぶり。 元気だったかい?」
「お父様! はい! お陰様で」
「それはよかった。 ⋯⋯こちらの方は?」
来た! 第一印象が大切だ。 私は義明さんに向けて挨拶をーー
「こちらは、怠惰生徒会長の倉石瑞稀ですわ。 仕事を押し付けて、楽をしようとしたり、悪巧みで周りを混乱させる、お騒がせ人間ですの」
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「倉石瑞稀です。 よろしく、お願いします」
私は義明さんに、向けて頭を下げる。 まだだ。 まだ間に合うーー
「この前なんて、ことねに啖呵を切っていましたわよ。 『貴方が、なにをしても文化祭は開催されますよ⋯⋯ですから、貴方はせいぜい、一人の生徒として、文化祭を楽しんでください』ですわ」
「ほう」
「なかなかね~」
「⋯⋯⋯⋯」
最悪だよ! ミウミウ、どうしてくれるの!




