夢の海外旅行
飛行機の中、私は窓の外を眺めている。 下には白い雲が見えておりその他一面は快晴だ。 ーーこれが空の旅か。 とってもドキドキしている。
「ビーフorチキンorフィッシュ?」
「オールプリーズですわ!」
「⋯⋯お客様。 一点のみのサービスとなっております⋯⋯」
「そんな! 私はもう、飢え死にしそうですわ」
「困りますお客様⋯⋯」
横を見ると、客席乗務員方とミウミウが揉めている。
ミウミウは相変わらずだなぁと、私は関心していた。
飛行機に乗って数時間。 目的地まではまだまだかかる。 たしかに、ミウミウにはとても過酷な環境である。 しょうがないなーー
「もう、私のも食べていいから我慢してよ」
「瑞稀! 貴方は命の恩人ですわ!」
配られて来た食事を、二人前分食べるミウミウに笑顔で返す私だった。
「ハア。 さすがに長かった!」
「そうでわね。 お腹と背中がくっつきましたわ。 ご飯を食べましょう!」
「え? ⋯⋯たしか、ミウミウのお母さんが、ご飯を用意してくれるって聴いているけど?」
「ちっち。 それとこれとは、話しが別ですわ。 さあ、行きましょ瑞稀!」
ミウミウが私を引っ張って行くが、その足取りは正確だ。 私はそのことに疑問を持ち、問いかけた。
「⋯⋯もしかしてミウミウ。 場所わかってる?」
「ええ。 ここは、私の庭ですわよ」
「なんでそんなに詳しいの?」
「私、中学までここで暮らしてましたの」
ミウミウから明かされる衝撃事実に、私は尻もちをついた。
「ななな⋯⋯」
「瑞稀? どうしましたの? ⋯⋯わかりましたわ! 空腹ですのね」
「ミウミウが帰国子女だった!」
私は、思わず叫ぶのであった。
「瑞稀。 そんなに意外でしたの?」
「もちろんだよ! まったく気づかなかった⋯⋯」
「家では同じ言葉で話していましたので、そこは困りませんでしたわ。 それで高校生から、生活に慣れるために、パパの元で暮らし始めましたの」
なるほど、理解出来た。 そんな事情だったんだね。
「さあ! ここのご飯は美味しいですわよ! 私のお気に入りですの」
「ねえ、ミウミウ。 私こんなに食べられないよ⋯⋯」
テーブルの前に並んだ、巨大な食べ物を前に、私は固まる。
何もかもがビックサイズだ。 餃子の一個が、ハンバーグみたいにデカい。 チャーハンは三人前盛られている。 そして、巨大な鳥が一羽真ん中に置かれている。
「そうですの。 ⋯⋯でしたら、残りは私が食べますのでご心配なく」
「ここはなんなの? ミウミウの専用店?」
「違いますわね。 私のお母様の行きつけですわ。 名前はファナイ食堂ですわ!」
苦笑いするしかなかった。 世界は広いのか、狭いのか私にはわからない。 ここのお店はすごく広いが、今食べている場所は控え室みたいな場所だ。
「ふうふう。 次は⋯⋯」
「巨大ハンバーガーだと! ⋯⋯どうやって作ったのこれ?」
「企業秘密ですわ。 ミス・ファナイが仕入れてますので」
ミス・ファナイ? 大食い会で有名人なのかな?
「あ! 人生で一度は食べたい、骨つき肉だ!」
「ガブっと。 肉汁が口いっぱいですわ~」
「この肉なに? 食べたことない味⋯⋯」
「さあ? ミス・ファナイが調達してますから?」
謎肉? なにそれ、怖いよ!
「パフェのタワーだ! 倒壊しないか心配⋯⋯」
「ドキドキですわね。 でも倒れないですわよ?」
「なんで?」
「ミス・ファナイマジックですの!」
何者なの? ミスファナイってーー
「さあ! 次は⋯⋯」
「ラーメン? 麺どころか器が見えないよどう言う仕組み?⋯⋯」
「やっぱり、締めはラーメンですわね。 麺が伸びないように細工してあるのですわ。 もちろん、ミス・ファナイ製ですわ。
凄いよ、ミウミウ。 見ているだけで、お腹いっぱいだよ。
「うふふ、美味しいですわ!」
「ご機嫌だね、ミウミウ」
「ええ。 貴方と一緒に食べれて、私幸せですわ」
「⋯⋯喜んでくれて光栄だよ」
海外旅行の始まりは、夢のようだった。




