櫻井香織のおもてなし
「さあ! 美羽、美味しいご馳走を用意したわよ~」
「ご馳走、ご馳走! ですわ~」
「⋯⋯⋯」
香織さんがご飯を大量に用意している。 見ているだけでお腹がいっぱいだよ。 いいね、ミウミウは元気で。 私は今、最悪だよ。 そう、貴方のせいでね。
「瑞稀ちゃんも、ドンドン食べてね」
「えっ。 ⋯⋯いや、私はお腹が空いてなくて⋯⋯」
「ふむ。 お腹の許容量は少ないのか⋯⋯てっきり美羽の友達だからたくさん食べる子だと思っていたんだがな⋯⋯」
「はい、そうです。 ははは⋯⋯」
義明さんの発言に、たじろぐ私。 お腹が空くどころか、キリキリしてきた。
「ムウ。 ⋯⋯瑞稀が嬉しくなさそうですわ」
「そ、そんなことないよ美羽」
「⋯⋯⋯⋯」
「ミウミウ。 ありがとう⋯⋯」
「はい、ですわ!」
「⋯⋯まったく。 しょうがない親友だね⋯⋯」
ミウミウがなぜ、あの場で私の悪行を言ったのかーー それは、私たちが早く打ちとけて欲しいからである。
早速、私は早速香織さんに満腹である理由を話した。
「香織さん。 私はミウミウと一緒に、ご飯を食べて来たので、お腹が空いていません!」
「あらあら。 美羽ったら、あそこに行ったのね。 ふふ~ 実は、あそこが今回の大食い世界選手権の会場なのよ!」
「な、なんですって!」
まさかの事実に私は驚く。 でもたしかに、そう言われたら納得が行く。
私は思いついた推測を語るーー
「空港の近くにありますから、立地条件は最適ですね」
「ええ、その通り」
「⋯⋯しかも、ここに来る途中、どこを探しても、大食い専門が見つかりませんでした。 地図で調べても、高級店のみ。 大食いとは無縁でした」
「裏でひっそりと、大食いをしているかもよ? ⋯⋯なんて冗談よ」
「さらに、食事中に物音がしていたので、工事中かな? と思っていたんですが⋯⋯会場設置中だったんですね」
「ふふふ。 ⋯⋯まあ、あたりかしら?」
私が、そう答えると、香織さんが嬉しそうに私を見る。
「⋯⋯うむ。 洞察力もある、と⋯⋯」
一方、義明さんは考え込んでいるようだ。
「モグ。 ゴクン。 モグモグ」
一方、ミウミウは食事に夢中のようだーー その様は、とても楽しそう。 さっきまでの不機嫌さは、既になくなっている。
ハア。 なんだか、癪だなぁ。 よし、ミウミウのことについて聞こう!
ミウミウは人間関係が、苦手だったんだよね?
「ミウミウは人見知りでしたか?」
「え? そんなことないわよ。 いつも学校のみんなが、遊びに来ていて。 美羽もいつも笑顔で⋯⋯瑞稀さん? 体調が悪いのかしら?」
私は今、ミウミウの転校前のクラスメイトたちに一言、物申したい気持ちが募っている。 ーーいや、戻ったら絶対に会いに行くから!
数日間でなにがあったの、ミウミウーー
「⋯⋯いえ、過去の自分にイラついていただけです。 すみません、話しを変えましょう! 香織さんと美羽は、和馬さんと離れ離れで寂しくなかったですか?」
「いいえ。 ⋯⋯と言ったら、嘘になるわね。 でも、頻繁に会いに来てくれるし、年に一度はあの別荘で過ごすから、寂しくないわよ」
「⋯⋯なるほど。 どう言う経緯で、和馬さんと知り合ったんですか?」
「うふふ。 和馬とは、幼馴染なの。 幼稚園から一緒だからね~ 和馬は私にイタズラばかりして、私は困っていたわ」
うわー。 和馬さんには失礼だけど、想像出来る。 絶対黒歴史だろうけど。
「⋯⋯でも。 みんなが私を遠巻きに見る中で、和馬はいつもかまってくれるから、楽しかったわ⋯⋯」
「いい関係ですね。 ⋯⋯二人のイチャイチャを想像して、胸焼けしそうです」
「ふふ。 瑞稀ちゃんはなにか、恋話とかないのかしら?」
「⋯⋯はは。 私は、男運ゼロらしくて。 語れる話しがありません⋯⋯」
本当、私って男には縁がないよね。 ことねには湊が、彩乃には健太がいるのになーー
そんなことを考えていると、ミウミウがご飯を食べながら、ぶっきらぼうに妄言を言い始めるーー
「モグモグ、ゴクン。 ⋯⋯瑞稀の周りは女ばかりですわ。 ひとみんにアカリン、サッチーにゆいゆい。 マイマイにリンリン⋯⋯ライバルがいっぱいですの。 しかも、ことねと彩乃も瑞稀にメロメロ。 ついには、今川先生にまで手をつける始末。 湊や健太、そして太一さんが嫉妬してますわよ?」
「あら! みんなでラブラブね。 ⋯⋯私も対象かしら?」
「⋯⋯そして、女性を魅了するカリスマ性ありっと⋯⋯まさか雫にも手を出してないだろうな?」
義明さんがメモをとりながら、私を睨んでいる。 えっと雫さんにはなにもしていませんよ! ーーたぶん。




