堕ちた私 ーー黒田明里視点
窓から入る日差しが、今は朝だと教えてくれる。 けれど、私はベットからは出ない。
文化祭が終わってからどれだけ経っただろう? 私は、部屋に引きこもっていた。 家族は、私のことを心配してくれている。 私が文化祭で犯した罪を知っていながら。
ピーポン
チャイムが鳴った。 家には今私しかいない。 みんな日中は出掛けているからだ。 もう一度チャイムが鳴った。 ーーこれで諦めて帰るだろう。
ドンドンドンドンドン
玄関のドアが強く叩かれる。 音が私の部屋まで聞こえてくる。 泥棒だろうか? 私は怖くなって来た。 しばらくすると、音が止んだ。 ーーよかった。
カチャカチャ バーン
鍵の開く音と、ドアを勢いよく開ける音が聞こえた。 嘘でしょ? 私は、布団の中で震えているしかなかった。
「オイ! 明里! いんだろ? 出てこいよー」
とても、ガラの悪い声。 でも、体の震えは止まった。 代わりにでるのはため息だった。 私は、リビングへ向かう。 そこには、私服姿のひとみがいた。 平日のこんな時間に、こんなところで何やってるのかしら?
「⋯⋯ひとみちゃん。 学校は?」
「あ? テメがゆー立場かよ、おサボリさんよー」
彼女は、人の家のソファーに堂々と寝そべり、ほうずえをついている。
「オイ! 来客用のドリンクはネェのかよー」
「⋯⋯少なくとも、不法侵入者に出す飲み物はないわよ」
「ケッ。 そうですかー」
「⋯⋯要件はなにかしら?」
早く、この厄介者を帰さないとーー
「アァ? 明里ちゃんよー 冷たいじゃネェか? アタイとの仲はそんなんじゃネェだろー」
「⋯⋯なによ? 吉澤ひとみ。 貴方はただの駒だったんだから⋯⋯計画は失敗したし、私たちの関係は終わりよ」
私は、ひとみを突き放す。 ーーもう私に構わないでよ。
「フーン。 そうかい」
ひとみは、そう言うとリビングから出て行った。 私は膝から崩れ落ちた。 これでよかったんだ。 私は心に言い聞かせる。
ピーポン
ーーまただ。 今度は誰だろう? 私はインターホンから確認する。 ーー瑞稀だった。 表情はある意味彼女らしい、落ち込み顔を浮かべて。 ーーまるで、捨てられた子犬みたいだった。
私は髪を掻きむしりながら、応答する。
「⋯⋯なによ」
「あ、明里! あれから学校に来てないって聴いて、心配だから来たの!」
私が声を発した途端に、笑顔を見せる瑞稀。
「⋯⋯ほっといてよ!」
「そんな⋯⋯」
その時、玄関のドアが開く音がした。 ーーそう言えば、ひとみが帰る所を確認してなかった。
「はわわ。 倉石さんです!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯なるほど」
「ちょっと、待ちなさいよ! 瑞稀、なにを想像したの? 言ってごらんなさい! 怒らないから」
「二人でお楽し⋯⋯」
「ガアー」
私は、玄関に駆け込む。 すると、二人がニンマリした態度で、私を見る。
ーーハメられた!
気づいた時には、手遅れだったーー




