光に隠れた影 ーー黒田明里視点
「⋯⋯で。 なに病んでんだ? テメー」
「明里! 辛いことがあったら言ってよ⋯⋯」
私はやむなく、二人をリビングに連れて行く。 外で騒がれても迷惑だから、仕方なく、だ。
「⋯⋯別に、病んでないし」
「おいおい。 だったらなぜ、休んでんだ? そんなに休んでっと留年しちまうぞ? ⋯⋯ああ、わかった! アタイらとタメになりてーんだなぁ?」
「えっ? そうなんだ! ⋯⋯それもありかも⋯⋯」
「違うわよ!」
私が大声で返すと、ひとみはケラケラ笑うばかり。 瑞稀は、しょんぼり。 ーーもう、降参だわ!
「⋯⋯貴方達には、わからないでしょうね。 光の近くにいる影の存在なんて⋯⋯私が彼女たちよりも、劣っていることは、わかっているわよ! でも、光は眩しいほど、私は隠れていくの⋯⋯私に存在価値なんてない。 私はいなくてもいい人間なのよ⋯⋯」
一年上に優秀な兄。 同学年には、万能の天才達。 そして、一学年下にはこの土地の神子。 ーー私なんかが付け入る隙がない。
「あまりにも、タイミングが悪すぎたわ。 これでも頑張ったんだけどね。 でも、疲れたわ。 ⋯⋯だから、すべてが嫌になったの。 吉澤ひとみ。 貴方に取り入ったのも、すべてを破壊する計画のためだったのよ」
神子様を信仰する奴を、文化祭で衝突させる。 そのために私は、根回しを行った。 ーーけれど、それも失敗だった。 私はただのモブだったのよ。
「⋯⋯以上。 つまらない話しだったでしょ。 さっさと帰りなさい。 家族が帰ってくるわ」
私は立ち上がり、リビングを出て自分の部屋へ入る。
「⋯⋯⋯なんでついてくるのよ」
二人は、平然とついて来た。 ひとみにいたっては、私のベットに寝転んでいる。 まったく。 ドヤ顔して、猫みたいね。
「⋯⋯明里。 私だってそうだよ。 同級生にことね。 ひとつ上には明里たちがいるもの」
「そうだよな! 神子様の存在に比べれば、アタイらはただのアリだなぁ」
ひとみのことは、ほっといてーー 私は事実を言う。
「⋯⋯どの口が言ってるの? 私、知ってるよ。 貴方の100のリストに、私の名前書いてないでしょう? 結衣や善子。 幸子の名前まで書いてあるのに⋯⋯」
私がそう言うと、瑞稀は俯いてしまう。 図星をついて悪いとは思うが、事実だから仕方がない。
「⋯⋯にゃんだ? そのヘンテコな名前のリストは?」
「これだよ⋯⋯」
瑞稀が、ひとみにリストを見せていた。
「ハア? んだこれ? ほぼ水増しだなぁ」
「失礼な。 私の理想のノートなんだから!」
「あんだって? 理想? ⋯⋯願いごとなら、神子様にするべきだなぁ」
「ことねに願っても仕方ないでしょ?」
「なんだと! 神子様の加護がわからないとか、オメー⋯⋯ まあ、今はいいや。 チェックが66までか⋯⋯うん? これは⋯⋯」
「ひとみん? どうしたの?」
67、黒田明里に会う
「へぇ。 んだよ瑞稀! もったいつけやがって! このこの!」
「⋯⋯え? ぁうん、そうだよ! 書いてるに決まってるじゃん!」
「私にも、見せて! ⋯⋯ハハ。 本当に書いてある⋯⋯」
嘘、私の名前がリストに? 私は信じられない気持ちで空を仰ぐ。 そうか、私も瑞稀にとっては、憧れだったんだーー
「そうだね。 私、勘違いしてた。 二人とも、ありがとう⋯⋯」
「おうよ! やっと気づいたか明美。 これからもアタイらはダチだぜ!」
「そうだよ。 私の憧れの人だよ⋯⋯」
私は、二人を抱きしめるのであった。
「⋯⋯エタナ」
『はい、瑞稀』
「これって貴方の仕業? ⋯⋯私、明里のことノートに書いてなかったよ?」
『瑞稀。 残念ですが⋯⋯私ではありませんね⋯⋯』
「⋯⋯じゃあ、これは一体どう言うことなんだろう⋯⋯」
『⋯⋯瑞稀が忘れているだけでは、ないですか? 無意識のうちにと言う可能性もありますよね』
「そんな! ⋯⋯たしかに、全部は書かなかったはずなのに、今見たら埋まっているよ⋯⋯ なにコレ?」
『⋯⋯不思議ですね⋯⋯』




