ジゴク温泉での全裸乱闘!
何故か俺と魔女がジゴク王宮の人間達にバレないように温泉に入浴しようとしていたが、そこには俺の核弾頭アトミックフレイヤを強奪した復讐鬼・赤髪魔剣士エミリもいたんだ……。
(何でこの温泉にエミリがいるんだ?それにしても温泉好きとは言え何てベタな隠れ方だ……亀甲縛りなんてしてる意味もわからん……魔のつく女は苦手だぜ。第一、素っ裸じゃ武器もねーじゃねーか)
困惑する俺をよそ目に、隣の魔女は亀甲縛りから自分で解き放たれるエミリを見て言う。
「また会ったわね赤髪魔剣士エミリ。諸国を放浪し、千を超える不得手なはずの魔術師を殺しソードマスターとも呼ばれる存在になった存在。そして異名である魔剣はブラッディーソード。敵の血で赤く染まる剣。魔力を身体能力向上のみに使用しているという噂もあるわね」
「詳しいじゃない魔女」
フフッとエミリは腕を組んで微笑む。
ちょっと待てよ……。
「おい魔女。そんな情報は聞いてないぞ? 知ってるなら何でもっと早く言わない?」
「脳に糖分が補給されて今、思い出したの。だからこれからは沢山食べさせてくれた方がいいと思うよ? その方が勇者魔王様にとっての幸せだと思うの!」
と、可憐な少女のように目を輝かせながら祈るように俺の目を見て言う――が、
「黙れ魔女」
ひゃっ! という顔をして魔女は自分の作戦が失敗した事を悟ったようだ。
食いしん坊のお前が好きなだけ食ってたらすぐにデブになる。
そんな魔女は見たくないんだよ。
「……ってエミリが消えた? どこだ?」
「頼れるセンパイが探すよコウハイ君!」
「魔女も消えた!?」
「エミリ捕まえた!」
「早っ! って水中!?」
どうやら突如消えたエミリは水遁の術で隠れていた。
エミリを温泉で捕まえる魔女はエッヘンと豊かな胸を張る。
それを見た俺は凝視はマズイかな……と視線を泳がせた……。
「ここで捕まるわけにはいかないのよ!」
「きゃ! 動かないでエミリ!」
「魔女になんて負けるもんですか!」
黒髪と赤髪の美少女二人は温泉の中で乱闘する。
俺も魔女に加勢しようとするが、暴れだした二人のおかげで俺もお湯を飲み込む。
そんな混乱の中、エミリは俺達の下半身を蹴って距離をとった。
魔女は平気なようだが、やはりモノがあるだけ俺だけがスゲー痛い……。
「……ち、ちんなみ……じゃなくてちなみに、お前が裸でいるって事は核弾頭は持ってないのか? どこに隠した?」
「核弾頭は今はメスパーの手にあるわ。前に試しに起爆させた時以上の爆発をさせる為にメスパーが調整してくれているのよ。どうせ起爆させるまでの魔力供給の時間もあるから、調度いいわ」
「メスパーはもう俺が第二オーマスーツのジギタリスの大砲。ファナティックバズーカで遥か彼方に飛ばした。どこかの大陸に落下して生きてても数日でここまで戻って来られるとは思えないぜ?」
「第三の仲間の線は考えないの? 甘いわね勇者魔王オーマ」
「そうですニャーン」
と、俺と魔女の神経が戦慄した――。
この猫撫で声は間違いなく――。
『メスパー!』
「どうも魔法少女漆黒のメスパーです、ぺこり。ここは逃がして下さいニャーン」
俺と魔女がエミリを拘束しようとしてたら突如魔法少女漆黒のメスパーが現れやがった!コイツは俺の第二オーマスーツのジギタリスの大砲。ファナティックバズーカで遥か彼方に飛ばしたはず……何故ここにいやがるんだ? そしてそのメスパーが電撃魔法と崩壊魔法を使い温泉のお湯を抜いて脱出させる。
「くそっ! とんだ伏兵が現れやがったぜ!」
温泉のお湯が抜けるのと崩壊魔法の地面の崩れで俺は体勢を崩す。
魔女はお湯の流れに逆らえずピャー!と呑まれてやがる。
そしてメスパーのメガネビームでタオルが焼けて俺の下半身の偉大なる聖剣をまじまじと見るエミリは呟いた。
「ひ、ヒノキの棒か?」
「いや、エクスカリバーだ!」
「いや、ヒノキの棒だろう!」
「いや、エクスカリバーだ!」
「か、顔に近づけるな変態! 妊娠する!」
「するかボケ!」
そしてこのコントのような状態の俺達に微笑むショートボブの漆黒の魔法少女は、
「痺れで魔法はすぐに使えないですわね。使えても今なら魔女でも詠唱が必要です。終わりですね。勇魔金玉はいただきますよ」
「ま、待て! 金玉と棒はセットのモノだ! セット販売なんだよ! 意味がわかるか!?」
「えぇ。他の都市だと金玉も棒もセットで販売されてますからね。それは常識ですよ?」
「そんな常識効聞いた事ねーぞ……ってやめろーーーっ!」
ニタリ……と猫が獲物を見つけた時のような縦長の瞳になるメスパーの両手が俺の勇魔金玉に迫る! このままじゃ、俺の大事な金玉が無くなる! つか何で金玉に魔力がそんな詰まってるんだかわからん! 童貞だからか!? 童貞だから無駄なエネルギーが溜まってるって事か!?
「いただきますわよ……」
「は……はは……はうわーーーっ!」
触られたからもうダメだ!
変な気持ちよさに負けて金玉取られた!
「いただきニャーン……ニャ?」
カコーン! とメスパーの額にコインがクリーンヒットした!
不意に魔女がコインを投げたようだぜ。
た……助かった……。
「え? どこにそんなコインを隠し持って……ニャー……」
コインでメスパーは気絶した。
永遠に眠ってくれ。
「魔女。お前まさか……このジゴクシティーに来た時に買い物をした時のお釣り?」
「そうよ。こんな事もあろうかと考えてセンパイは胸の谷間にコインを仕込んでおいたのです。えっへん!」
「あ……そう」
「ちょっとー! 偉大でカワイクで素晴らしいセンパイをもっと尊敬の眼差しで見ていいのよコウハイ君!」
「……こうか?」
「イヤー! 死んだ魚のような目で見ないでーーーっ!」
「ふざけるのも大概になさい妊娠ハレンチペア共!」
『妊娠ハレンチペア?』
と、俺と魔女はシンクロして赤髪魔剣士エミリの言葉に反応した。
そして俺達はエミリの背中にZの傷跡があるのを見た。
「その背中の傷は誰かにつけられたものだな。そのZの傷はまるでお前の必殺技のゼータスラッシュのような傷跡だぜ」
「……」
一瞬、憎々しげな顔になるエミリはやや俯き加減で言う。
「この背中のZの傷跡……これが私の復讐の動機よ」
話によると、この背中にZの傷跡はジゴクシティーの王であるジゴク王につけられた傷跡らしい。
エミリの家族は民衆を大事にせず、生贄と称して他国に人間を売り渡し、互いに互いを怪しむかのように閉塞する陰鬱な街を良しとし、明るいシティーに変化させないジゴク王に反乱を起こし、殺害された。そして背中にZの烙印を押されながらも、ゴミ袋でステルスしつつこのジゴクシティーから一人逃げるエミリは復讐を誓ったようだ。
それが今は裸だから身につけてないがZの傘とZの斬撃なんだろう。
殺さずに生かす。
生き地獄を与える。
それがエミリの復讐の仕方のようだな……。
「……そして、もうすぐこのジゴクシティーで年に一度のテンゴクフェスティバルが開催される。その時、ジゴクシティーの真上にあるテンゴクシティーからテンゴク人が降臨するわ。何も出来ないテンゴク人を無意味に神と崇め、ジゴクシティーを衰退させ続けるジゴク王には赤き断罪を下す。テンゴクとジゴクはこの赤髪魔剣士エミリによって消え去るのよ」
「テンゴクフェスティバル?それにジゴクシティーの真上にあるテンゴクシティーのテンゴク人……だと?」
俺と魔女はそのエミリの言葉に困惑し、言葉が詰まる。そして数秒間両者は互いに見つめ合う。
『……』
そして、何故か耳を隠すように抑えているエミリと初めて出会った時の荒野を思い出し俺は言う。
「何故、核を使った後に駆けてる時にすぐにジゴク国境を越えた遠くに逃げなかった? カサライダーを使えば俺の追撃もおそらく間に合わなかったはずだぜ?」
「もう知ってるでしょ? それはアレがメスパーの罠だからよ」
「俺とあえて出あわせてから、自分とメスパーが安全に脱出させる為の罠か……。第三者の仲間の存在も気になるし、気に入らんな」
「一応、核弾頭アトミックフレイヤの製作者には会っておく必要があるからね。メスパーは貴方の勇魔金玉が必要なようだから。勇者魔王のこれからの目的が無いなら引退してメスパーにあげたらどう? あの女で童貞を捨てれば一石二鳥じゃない」
「意味がわからん。俺はこれから俺の元いた世界に帰って覇王になるという野望がある。この力を無くすわけにはいかねーんだよ」
「……へぇ、面白い目的ね。このテンゴク大陸にはこの世界の始りの書物もあるかも知れない。だからそれを手に入れれば現代に帰る安定したワープゲートを開けるかも知れないわ。それを渡したら私の邪魔をしないでもらえるかしら?」
すぐに俺が答えようとすると、ふと気絶から目を覚ましたメスパーは言う。
「魔力秘宝・宝玉によるゲート解放はある種の偶然でしかないですわ。それに、不死の人間じゃないと次元を通過する不可に耐えられないですからね。だから、ゲートを正しく解放して使える方法を探さないとならないのです。それが賢者ですわよ」
『……』
「そして、そろそろ退散ですわよエミリ。そこそこ魔力は稼げました。この湯に浸かってると妊娠するニャーン?」
「え!? 妊娠!? そうだ妊娠!」
キャー! 妊娠するー! と叫ぶエミリは赤髪を振り乱して温泉から姿を消す。
スゲー逃げっぷりで追いかける気にもならん……。
俺は歩く生殖器か!
(……あれ?何かエミリの耳が尖っていたように見えたが気のせいか?エミリは人間族だから気のせいか)
そして赤髪魔剣士エミリと魔法少女メスパーは去った。
そう、俺達も去らないとならん。
「……いきなりの自体だったがまぁ互いに無事で何よりだ。この騒ぎは少しマズイな。そろそろ騒ぎを聞いた人間がこの温泉に来るだろう。ずらかるぞ」
「このままこの城の中で寝たほうがよくない? バレなきゃいいでしょ!」
「よくねーよ。一応は正式にジゴク国王に会う必要もある。エミリの件についても効きたいしな。それなのに不法侵入と不法宿泊までしてたまるかよ」
そして、俺達はゴミ袋ステルスでジゴク王宮から脱出した。
※
ジゴクシティー到着から散々な目にあったが、今日は安心して眠れそうだぜ。
そんなこんなでクタクタの俺と魔女は宿屋の受付にいた。
そして魔女は騒ぐ。
「え! 泊まれないの? 何で何でー!」
あーだこーだと魔女の奴が騒いでやがる。
交渉がヘタだな。
テンゴクフェスティバルという祭りが近いから他国の奴も来てて宿屋がどこも一杯なのか。金で解決出来る奴はそうしてるだろうだろうが、まさか俺がそんな事をするわけにはいかん。金が無いわけではないぞ?
(仕方ない。ジョーカーを切るか……)
スッと俺は宿屋の店主の前に立ち言う。
「泊められるよな? 俺は勇者魔王だぜ?」
「ゆ、勇者魔王? 君があのヘブンリーシティーで赤魔王を殺して民衆も同時に大虐殺をした……」
フフッと笑みを浮かべて右手の勇者烙印と左手の魔王の魔手を見せた。
戦慄の表情をしつつも宿屋の店主は急いで部屋を手配すると言い、俺達は今夜泊まる宿を得た。楽勝な交渉だ。大虐殺者というのは多少は気になるが事実だから仕方ない。そして、二度と核で都市を消滅させるわけにもいかない。俺達は店主に案内されて部屋に案内された。一人部屋はないらしいが、別に気にしない。俺と魔女は同室で寝るのも慣れてるしな。そして夕食を食べつつ、二人は平和な時間を過ごす。バクバクと肉を食べる魔女とミルクを飲む俺は疲れからか無言だ。ふと、窓の外を見た俺は言葉を数分ぶりに発した。
「あの店主……ジゴク王宮方向へ消えたな。わざわざ店主が王宮へ行くなんて何かあるな」
「このタイミングだと勇者魔王がこのジゴクシティーにいるという密告。コウハイ君はこの宿に泊まる交渉で勇者魔王という事を言ってしまったからね」
「まぁいいさ。俺達に危害を加えるなら散らすだけだ。誰であろうとな」
勢いよくジゴク王宮に向かって駆ける宿屋の店主の後姿を見つめつつグラスのミルクを飲み、俺はそう言った。
「このまま宿屋の店主がジゴク王宮に密告しに行ったとなると、今は温泉がメチャクチャになってるあの場所のジゴク王が黙ってないんじゃない? テンゴクフェスティバルを前にして王宮の警備体制が強化されて最悪、ジゴク王に会えなくなるかもよ?」
「それは無いと思うが、その時はその時さ。俺は勇者魔王でお前は魔女。この世界の特別な存在だ。まず権力や力がある奴なら会える状況なら会わざるを得ないと言うのが本音だろ。所詮、現状の世界はテンパが死んだ事により各大陸の水面下での戦いが直接的な戦いになってもおかしくない状況だ。その状況を手っ取り早く解決するには巨大な力を持った俺の力が必要。なんせ俺を敵に回したら自国を滅ぼされるかもしれねーからな」
「……確かにそうだね。今は様子見が一番か。現状は向こうも各大陸から客が来るテンゴクフェスティバルの開催をこんな土壇場でやめるわけにはいかないからね」
「そうだ。ジゴク王にはジゴク王達のこれからの大陸運営の仕事がある。個人としては関わり合いたくなくても、自国を優位にする手駒になるかもしれない勇者魔王という存在はまるで核弾頭のように重要なジョーカーになるはず。だからジゴク王は俺に会わざるを得ない……というのが俺の考えさ。まぁ兎にも角にも今日は休もう。最悪、ここが奇襲されるかも知れんからな」
「オッケー。体力と魔力を少しでも回復させとかないとね。それじゃ夜食を……」
「コラ。もう寝るぞ?寝る子は育つって知らないか?」
と、ハンドガンを構える俺は言う。
「アイアイサー! さて寝ましょう!センパイの子守唄の中で眠るといいよ?」
「少しなら聞いてやる。音痴だったら散らす」
そして、俺達は多少の騒動がありつつも一つのベッドで安らかに眠りについた。俺は寝てる魔女の胸を柔らかい枕代わりにしてやったぜ!フハハハッ!
俺に逆らう者は許さないという事さ。
さて、これからが楽しみだ……って魔女との夜……じゃなくて敵が来るかどうかの話さ。魔女など俺の性奴隷に過ぎんからな……フハハハッ!って、声を出すとスヤスヤと眠る魔女が起きるから俺もちゃんと寝よう……。
フハハハッ!(小声)




